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風雅、舞い - 第十一章 AP (3)
 布団の上であぐらをかいて、母の言葉を思い出す。
「両方取るのは無理、か……」
 現に、母と父は別居し、舞達だけが下界で生活していた。舞は、この場所、ふたりを分け隔てた碧き泉は厭ましく思っていても、母のことは別段嫌いではなかった。それでも、たびたび「家庭崩壊」という言葉は頭をよぎっていた。
 まだ具体的なプランは立てられなくても、想像はできる、将来の「自分の家庭」。そのイメージが、泉寄りの生活で崩れてしまう。
「……半年間だけって、だめなのかなぁ……」
 予言では、来年の春に何かが起きることになっている。その間だけ、今の生活にどっぷりと浸かってみる。それもアリだと思う。でも、戻ってこれるか、その自信はない。
 むしろ、戻ってこれないと確信している自分がいる。
「それはやめた方がいいと思うなー。舞、戻ってこれなくなっちゃうよ?」
 確信している人がもうひとり。
「……」
「……ねぇ、ひとつ確認しておきたいんだけど」
「何?」
「それってさ、あの朴って人、関係ある?」
「ない」
 舞は即答した。
「朴さんと、木村君ならどっちがいい?」
「……なんで木村君が出てくるのよ」
「振っといて何を」
「あー……」
 そんなことすっかり忘れていた、そんな表情に恭子はあきれた。
「今のあんたは、泉とかが恋人、って感じね」
「……」
 否定はしない。むしろ肯定したいくらいだった。
「そういえば、あそこで3人で何してたの?」
「何って、舞も触れたじゃない、結界」
「へ?」
 結界と、恭子と俊雄が、継ながらなかった。
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