「……あのー」
次の日の朝。
結白家の玄関を開けた少年は、おどおどする恭子と俊雄の間でとっくみあいの喧嘩をする母子に微妙に戸惑った。
「何!? 今取り込み中なの!」
「だからここは危ないって言ってんでしょ!!」
「だからって泉放っておくなんてできないでしょ!!」
「いいじゃん泉くらい!!」
「駄目よ駄目よ絶対駄目!! ここはあんたのおばあちゃんの、そのおばあちゃんのおばあちゃんの頃からずっとずっと守ってきた所なんだから、絶対に離れないからね!」
「お母さんがいたって何にもなんないでしょ!!」
「そんなことないもの、私だって術のひとつやふたつ使えるし、結界だって張ったし」
「それ、無意味だったよ」
ほんの少し「意」を含んだ言葉に、舞と美咲は反応した。一秒前の状況は完全にキャンセルされ、ふたりは少年に注意を向け構えを取る。
「あ、少年……」
「おはようございます。今日はリシュネの代わりとして、舞さんのお迎えに参りました」
「迎え?」
確かに、ファインダウト社というものがどこにあるか知らない舞は、迎えが来なければ行きようがなかった。
「あ、君に訊いていいのかわからないけど、あと3人追加していい?」
「舞!!」
「大丈夫です。左さんはそういうことは気にしません」
と、少年は分かり切ったことのように言い切った。
「じゃあ、30分待って、準備するから」
「駄目だって、聞いてるの!?」
「そういえば君、APなんだよね。何キロまで持てる?」
「正確な値はわかりませんが、この前の体力測定ではトラックを持ち上げられました」
「ならお母さんひとつくらい大丈夫よね」
「……へ?」
美咲の顔はみるみる青ざめていった。
次の日の朝。
結白家の玄関を開けた少年は、おどおどする恭子と俊雄の間でとっくみあいの喧嘩をする母子に微妙に戸惑った。
「何!? 今取り込み中なの!」
「だからここは危ないって言ってんでしょ!!」
「だからって泉放っておくなんてできないでしょ!!」
「いいじゃん泉くらい!!」
「駄目よ駄目よ絶対駄目!! ここはあんたのおばあちゃんの、そのおばあちゃんのおばあちゃんの頃からずっとずっと守ってきた所なんだから、絶対に離れないからね!」
「お母さんがいたって何にもなんないでしょ!!」
「そんなことないもの、私だって術のひとつやふたつ使えるし、結界だって張ったし」
「それ、無意味だったよ」
ほんの少し「意」を含んだ言葉に、舞と美咲は反応した。一秒前の状況は完全にキャンセルされ、ふたりは少年に注意を向け構えを取る。
「あ、少年……」
「おはようございます。今日はリシュネの代わりとして、舞さんのお迎えに参りました」
「迎え?」
確かに、ファインダウト社というものがどこにあるか知らない舞は、迎えが来なければ行きようがなかった。
「あ、君に訊いていいのかわからないけど、あと3人追加していい?」
「舞!!」
「大丈夫です。左さんはそういうことは気にしません」
と、少年は分かり切ったことのように言い切った。
「じゃあ、30分待って、準備するから」
「駄目だって、聞いてるの!?」
「そういえば君、APなんだよね。何キロまで持てる?」
「正確な値はわかりませんが、この前の体力測定ではトラックを持ち上げられました」
「ならお母さんひとつくらい大丈夫よね」
「……へ?」
美咲の顔はみるみる青ざめていった。