蛍光灯が付けられると、無数の機械に囲まれた「ベッド」が見える。チューブ状、その上をガラスが覆う。
「ここがAP用ハンガー。1日1回のメンテナンスを就寝中に行う設備が整っています」
「あの中で寝るんですか?」
「寝ると言っても人工的に活動力を下げるから、一般的な寝る、とは違うけど」
このチューブに横たわって寝るリシュネの姿を想像する。
……ちょっと、嫌かも。
「ここは予備の部屋です。実際にリシュネや少年が使用しているわけではありませんから」
「あ、そうなんだ」
確かに、生活臭、と言っては変だが、使われた痕跡が見あたらなかった。
「奥の部屋がパーソナルルームになっています」
自動ドアが開くと、中はベージュ色の壁に包まれた何もない部屋だった。
「リシュネの部屋もこうなの?」
「ちゃんと家具とかは置いてあるわよ。あとで頼んでみなさい」
智子が部屋を出る。舞はまだ部屋を見て、リシュネの部屋を想像していた。
「ひとつお訊きしたいのですが」
出ようとする智子を遮るように、美咲が尋ねる。
「毎日このようなことをしなければならない……APとは、いったいなんなのですか?」
「何、と訊かれると難しいわね……人がかつて持っていた力を改めて持たせた、それがAPということになるかしら」
「そういうことを訊いているのではありません」
「?」
「社会的な意味……なぜ、APを作る必要があるのか、ということです」
「ああ」
と、困った顔をした。
「それは左さんに訊いてください」
「え?」
「私自身、APについては疑問を差し挟む余地があると考えています。現に兵器に転用できてしまう、そのような技術を本当に開発していいのか。でも」
その瞳に、迷いはない。
「左さんがすると言えば、私はします。それだけのことです」
「ここがAP用ハンガー。1日1回のメンテナンスを就寝中に行う設備が整っています」
「あの中で寝るんですか?」
「寝ると言っても人工的に活動力を下げるから、一般的な寝る、とは違うけど」
このチューブに横たわって寝るリシュネの姿を想像する。
……ちょっと、嫌かも。
「ここは予備の部屋です。実際にリシュネや少年が使用しているわけではありませんから」
「あ、そうなんだ」
確かに、生活臭、と言っては変だが、使われた痕跡が見あたらなかった。
「奥の部屋がパーソナルルームになっています」
自動ドアが開くと、中はベージュ色の壁に包まれた何もない部屋だった。
「リシュネの部屋もこうなの?」
「ちゃんと家具とかは置いてあるわよ。あとで頼んでみなさい」
智子が部屋を出る。舞はまだ部屋を見て、リシュネの部屋を想像していた。
「ひとつお訊きしたいのですが」
出ようとする智子を遮るように、美咲が尋ねる。
「毎日このようなことをしなければならない……APとは、いったいなんなのですか?」
「何、と訊かれると難しいわね……人がかつて持っていた力を改めて持たせた、それがAPということになるかしら」
「そういうことを訊いているのではありません」
「?」
「社会的な意味……なぜ、APを作る必要があるのか、ということです」
「ああ」
と、困った顔をした。
「それは左さんに訊いてください」
「え?」
「私自身、APについては疑問を差し挟む余地があると考えています。現に兵器に転用できてしまう、そのような技術を本当に開発していいのか。でも」
その瞳に、迷いはない。
「左さんがすると言えば、私はします。それだけのことです」