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風雅、舞い - 第十二章 超越する存在 (6)
「あのー、俺金はいらないんですけど」
「私も、ここにいる分には必要ないし」
「同じく」
「!!」
 舞が顔を赤らめる。
 わ、私って貧乏……?
「まぁじゃあ結白君向けということで、優勝者には賞金百万円を用意します」
「!!」
 舞の顔が輝く。
 ひゃ、百万円あったら……何買おう……あ、お母さんには内緒にしなきゃ。
「さらにもうひとつ。これは賞品というよりルールだけど、勝った人は負けた人に何でも命令できるというのはどうかな」
「はい」
「はい、リシュネ」
「トーナメントの割り当てによっては命令したい人と当たらない可能性があります」
「トーナメント時にそのためのアンケートを取ることにします」
「はい」
「はい、君」
「命令はどんなことでもできるんですか」
「治外法権領域なので違法行為でもOKです」
「はい質問」
「はい結白君」
「勝負ではどんな手段を用いてもいいですか?」
「もちろんです、本当の強さを知りたいんですから」
「はーい」
「はい、朴君」
「穂香の分は?」
「君は二人で一組だから不可」
「ちぇっ」
 ……。
 誰一人、このイベントに異論を唱える者はいなかった。
 なぜか。
 負けることを考えている者などいないのだから。
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