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風雅、舞い - 第十二章 超越する存在 (7)
「一週間後か……無断で海外行ったらお母さん怒るかな……でもやっぱり内緒にしたい……」
「そんなのんきなもんでもないけどな」
「それはそうなんだけど。私達だけで行くんだし」
「そういや、俺らも敵同士になるんだな」
「……あっ!」
 思わず舞が距離を取る。
「冗談だよ、あいつだって言ってただろ? リーダーを決めるんだって」
「……」
 警戒を解いて、再び並んで歩き出す。
「でも賞品が賞品だもの、やっぱり絶対に勝ちたい」
「まーな」
 にやりと笑って訊く。
「誰にどんな命令したい?」
「秘密」
「そりゃそうか」
「雅樹は?」
「穂香に任せる」
「それは予測つかないね……」
「秘密といや……左の言っていた残りの3分の1の目的、なんだと思う?」
「さあ。……最悪、私達みんなダウンしてるところに追い打ちして全滅、とか」
「そりゃないだろ。あの左って男、穂香は人間だって言ってるからな、よっぽどの事がない限り大丈夫だろ」
「そうだとは思うけど……あの人ってよく分かんないし」
「確かにあの男、何考えてるかわかんないからな……」
「なんか情報はないの? 穂香さんから」
「こっち来てからずっと見てもらってるんだけど、普通の事務処理とかが大半らしい。それが逆に怪しいって穂香は言ってっけど」
「きっと色々知ってるはずだし、もっと行動しているはずなんだけど……泉の事とかもちゃんと答えてくれないし」
 ファインダウト社に来てからもうすぐ1ヶ月になる。その間、訓練の合間に他の泉のことを訊いたりもしたが、何一つ話してもらえていない。
「もう少し強く質問したいんだけど、リシュネ怒るし……」
「ま、穂香から隠し通せるわけないんだ、少し経ちゃ分かるよ」
「だよね」
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