「なんで俊雄君がいるのよ!!」
やっと白み始めたという早朝。
レストランの駐車場で、舞は憤っていた。
「左さんが呼んだんですか!?」
「ううん、僕が参加したいって」
「……」
舞が俊雄を睨む。俊雄は苦笑いするだけ。
「……俊雄君、どういうことか判ってる?」
「解ってるつもり、だけど」
「そう……じゃ」
舞は右手を構える。朝露と霧から水分が抽出され、右手の元に剣を形作る。
「右腕出して。斬り落とすから」
「え……」
さすがに俊雄の顔から笑みが消える。
「右腕」
「――」
「右腕」
「……」
俊雄はおずおずと右腕を差し出す。
頬が、切れる。
「……ッ!?」
一瞬遅れて、気付く。
その剣が、右頬に触れている。
俊雄は、認知すらできなかった。
「舞……さん……?」
「……むかつく」
むかつく。
斬れない自分にむかつく。
俊雄を許してしまう自分に腹が立つ。
大袈裟に溜息をついてから、剣を消す。
「いい、もう好きにして。私は百万のことで頭がいっぱいなんだから」
「???」
俊雄は何もわからないまま、立ちつくす。その肩を、雅樹が叩く。
「しゃんとしろ! ホントに舞に殺されっぞ?」
「ま、まさか」
「故意にじゃなくて、だ。味方の誤射や事故での戦死なんてざらにあるんだからな」
「……」
俊雄は何も答えず、ただうなずいた。
やっと白み始めたという早朝。
レストランの駐車場で、舞は憤っていた。
「左さんが呼んだんですか!?」
「ううん、僕が参加したいって」
「……」
舞が俊雄を睨む。俊雄は苦笑いするだけ。
「……俊雄君、どういうことか判ってる?」
「解ってるつもり、だけど」
「そう……じゃ」
舞は右手を構える。朝露と霧から水分が抽出され、右手の元に剣を形作る。
「右腕出して。斬り落とすから」
「え……」
さすがに俊雄の顔から笑みが消える。
「右腕」
「――」
「右腕」
「……」
俊雄はおずおずと右腕を差し出す。
頬が、切れる。
「……ッ!?」
一瞬遅れて、気付く。
その剣が、右頬に触れている。
俊雄は、認知すらできなかった。
「舞……さん……?」
「……むかつく」
むかつく。
斬れない自分にむかつく。
俊雄を許してしまう自分に腹が立つ。
大袈裟に溜息をついてから、剣を消す。
「いい、もう好きにして。私は百万のことで頭がいっぱいなんだから」
「???」
俊雄は何もわからないまま、立ちつくす。その肩を、雅樹が叩く。
「しゃんとしろ! ホントに舞に殺されっぞ?」
「ま、まさか」
「故意にじゃなくて、だ。味方の誤射や事故での戦死なんてざらにあるんだからな」
「……」
俊雄は何も答えず、ただうなずいた。