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風雅、舞い - 第十二章 超越する存在 (11)
 駐車場にミニバスが入る。雅樹、舞、俊雄、リシュネ、少年、智子、左が乗り込む。
 30分ほどで小さな飛行場へと到着し、滑走路に駐機してあるカーキ色の巨大な軍用輸送機を舞と俊雄は見上げる。
「でけー」
 雅樹は感嘆の声を上げ、リシュネ達は気にせずに乗り込む。案内されたスペースは外観からは想像できないスイートルーム。ゆったりくつろげるソファ、カウンターの向こうには銀色のシンクと冷蔵庫。
「なるほどな」
「?」
「あの向こう側は指揮室になってるんだと。その機械で監視するんだろ」
「監視ではなくてモニタリング」
 智子が雅樹の言葉を継ぐ。
「リシュネ達の演習記録を録るためのものよ。もちろんあなた達のもモニタリングさせてもらうけど、基本的には地下室で録っていたものと同じものだから」
「俺たちゃ実験体だもんな」
「否定はしないわ。報酬もあるし」
 銀色の冷蔵庫からワインを取り出す。
「しっかし」
 雅樹がワインを手に取り、隣にいるであろう穂香に見せる。
「こんだけの金がどっから出てくるんだ? 前は国がスポンサーだったって聞いたけど」
「その穂香さんはまだそこまで調査できてないの?」
「今コンピューターの勉強中なんだ」
 智子がくすりと笑う。
「いや、ボケじゃなくて本当に」
「……本当に?」
「穂香は可視光だけじゃなく赤外線や紫外線も見えるし、それ以外の電磁波も見ようと思えば見えるんだ。だからコンピューターの中身を直接読み取ることもできるんだよ。ま、コンピューターはコンピューターの言葉があるらしいから、それを勉強してる途中なんだけど。え、違う?」
 雅樹は脇を向き、眉間に皺を寄せて聞いていた。
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