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風雅、舞い - 第十二章 超越する存在 (12)
「俊雄君、学校どうするの?」
「どうするもなにも、連休だけど」
「えっ!?」
 舞はカレンダーを確認する……にも、機内にはカレンダーは掛かっていなかった。
「3連休だよ。日付感覚なくなってるんじゃないか?」
「……」
 舞はふてくされて外を見る。眼下には雲海、見上げれば青空。昼過ぎには到着するはずだった。
「そういえばお前、なんで来たんだ? 社会見学には思えないが」
 雅樹が俊雄に話を振る。
「社会見学ですよ。舞さんがどういう世界にいるのか知っておきたくて」
「で、こっちの世界に来ようっていうのか? どうせおおかた、APにでもなろうって考えなんだろ」
 その言葉に反応して舞が振り向く。
「APって……」
「無理。属性がないとなれない」
 リシュネが説明する。
「APは誰でもなれるものじゃない。APの種が根付くか根付かないかは、人それぞれ異なる」
「リシュネ達は?」
「私達は何万というサンプルの中から『属性が合う』から選ばれたの。運が良かっただけ」
「本当か? それ」
「一応、ね」
 リシュネは視線を逸らす。
「だとよ。どうする?」
「……僕は何も答えてないんですから、話を進めないでください」
 という俊雄の憮然とした表情が、全てを物語っていた。
「APになろうだなんて……」
 舞は、あきれてものも言えなかった。
 やっぱり、腕を斬り落とすんだった。
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