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風雅、舞い - 第十二章 超越する存在 (13)
 南洋の孤島。木々に覆われたその島の南端にある飛行場に輸送機が着陸する。
「うっわ……」
 蒸し暑い。
 凄まじい湿気が、不快指数を高めている。
 それより何より。
「あのジャングルの中っていろんな動物とかいそう……虫も……」
「予防接種やワクチンのキットも持ってきてあるから、気になるならしてあげるけど」
「その方がいいかも……試合っていつからするんです?」
「ここの時間で午後3時から。時差は東京の2時間後だから変えておいて。それと、試合の組み合わせ」
 洋一がプリントアウトを渡す。

第1試合:リシュネvs結白舞
第2試合:朴雅樹vs少年
第3試合:リシュネvs少年
第4試合:朴雅樹vs結白舞
第5試合:朴雅樹vsリシュネ
第6試合:少年vs結白舞

「トーナメントじゃなかったんですか!?」
「だって、みんなと戦った方が実力が分かるしみんなだって全員とやった方がいいでしょ」
「?」
「負けた人は勝った人の言うことを聞く、っていうルールがあるのよ」
「……えええっ!?」
 智子に耳打ちされて、俊雄は驚く。
「すみませーん、スタミナ的に私不利な気がします!」
「トーナメントは2試合、総当たりでも3試合、変わらない変わらない」
「……」
「試合は1日2試合ずつ。30分一本勝負、勝ったら3ポイント、負けたら0ポイント、時間切れで1ポイント。ポイントの合計が一番の方に、百万円と副賞を差し上げます」
「ああ、百万ってそのことなのか……」
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