第2試合:朴雅樹vs少年。
「事実上の決勝戦なんじゃねーのか?」
ジャケットを脱いでから、火の点き具合を確認する。湿気はそれほど影響していないようだった。
遠くでホーンが鳴る。
「フライングだっ!」
遠くから振動が伝わり、津波のような衝撃波が雅樹の近くまで届く。が、その方向は大きく外れていた。
「やっぱ、APは遠距離戦が得意そうに見えて、索敵能力が低すぎるから生かせてないんだな」
ま、俺も穂香が居なきゃどうしようもないんだが。
その穂香の声を聞いて、疾る。木々の間を抜け、岩を飛び越えるその姿は獣を感じさせる。地形を不利に感じさせないその動きは、人のものを超えていた。
「おっと」
雅樹は立ち止まり、その前を衝撃波が駆けていく。巨木が割れ、葉が吹き飛ぶ。通り切ってからその痕を超えてさらに走る。
「!」
刀を抜き、振る。
音もなく刀が少年の拳を受け止める。
刀が支えを失い、少年が雅樹の背後に回る。
少年の手刀が雅樹の脇をすり抜け、雅樹は刀を真後ろに薙ぎ、刃が少年の胸を切り裂く。
「!?ッッ……」
少年は大きく距離を取り、雅樹はゆっくりと振り向く。
「まさか、そこまでとはね……本当に信頼してるんだね」
「何十年一緒にいると思ってるんだ。それに」
刀を蒼炎が包む。
「お前は、決して速くない」
「!!」
少年が咄嗟に構える。
……なぜ構えるんだ、僕は。
「まず、お前達APは別に空が飛べるわけじゃない」
雅樹が踏み込み、刀を振る。少年は炎を避けるように跳んで躱す。
切っ先が触れ、少年の上腕が裂ける。
「跳ねるだけだから、限界がある」
「事実上の決勝戦なんじゃねーのか?」
ジャケットを脱いでから、火の点き具合を確認する。湿気はそれほど影響していないようだった。
遠くでホーンが鳴る。
「フライングだっ!」
遠くから振動が伝わり、津波のような衝撃波が雅樹の近くまで届く。が、その方向は大きく外れていた。
「やっぱ、APは遠距離戦が得意そうに見えて、索敵能力が低すぎるから生かせてないんだな」
ま、俺も穂香が居なきゃどうしようもないんだが。
その穂香の声を聞いて、疾る。木々の間を抜け、岩を飛び越えるその姿は獣を感じさせる。地形を不利に感じさせないその動きは、人のものを超えていた。
「おっと」
雅樹は立ち止まり、その前を衝撃波が駆けていく。巨木が割れ、葉が吹き飛ぶ。通り切ってからその痕を超えてさらに走る。
「!」
刀を抜き、振る。
音もなく刀が少年の拳を受け止める。
刀が支えを失い、少年が雅樹の背後に回る。
少年の手刀が雅樹の脇をすり抜け、雅樹は刀を真後ろに薙ぎ、刃が少年の胸を切り裂く。
「!?ッッ……」
少年は大きく距離を取り、雅樹はゆっくりと振り向く。
「まさか、そこまでとはね……本当に信頼してるんだね」
「何十年一緒にいると思ってるんだ。それに」
刀を蒼炎が包む。
「お前は、決して速くない」
「!!」
少年が咄嗟に構える。
……なぜ構えるんだ、僕は。
「まず、お前達APは別に空が飛べるわけじゃない」
雅樹が踏み込み、刀を振る。少年は炎を避けるように跳んで躱す。
切っ先が触れ、少年の上腕が裂ける。
「跳ねるだけだから、限界がある」