「どうしよう……」
雅樹の位置は把握できていた。でも、遠距離戦では分が悪いことは分かっていた。舞は雅樹の攻撃を把握できないが、雅樹は舞の攻撃を知り躱すことができる。この距離で水槍を撃っても躱されるし、当たったとしても大したダメージにはならない。
なら。
「接近戦で、決着を――」
雅樹の言葉を思い出す。
お前は、接近戦には向いていない。
分かっている。
絶対的な力量の差は感じている。
「……」
考えている間にも、灰色の炎が舞を包んでいく。
「とりあえず」
舞は両腕を広げる。そのゆびさきが触れるか触れないかという半径の水球が生まれ、舞を包み込む。
灰色の炎が、水球の表面をちりちりと焦がす。元々「存在し得ない炎」である灰色の炎が、水球を形作る舞の力と衝突している。
「!!」
雅樹の周りの水蒸気が、飛ぶ。
舞の把握できない空間が、生まれた。
できる? ううん、やってみせる!!
閃光の如く貫く火線が舞の水球に直撃し、水球はそれを弾く。
「後ろ!!」
舞は振り向きざま手を振り、それが水球の表面を尖らせ背後に飛び掛かる雅樹を薙ぐ。
一瞬。
雅樹と舞の目が合う。
雅樹は、悔やむような目で。
「ちっ」
舌打ちと共に雅樹の左手が赤く煌めき、爆音と共に尖った水球の表面を爆散させる。水球の形が崩れ、舞が水球の外へと放り出される。
「舞っ!」
周りには、死をもたらす灰色の炎。
「……っ」
死を覚悟する、舞。
手を伸ばす、雅樹。
俺には、殺せない!!
その伸ばした手が、消える。
雅樹の位置は把握できていた。でも、遠距離戦では分が悪いことは分かっていた。舞は雅樹の攻撃を把握できないが、雅樹は舞の攻撃を知り躱すことができる。この距離で水槍を撃っても躱されるし、当たったとしても大したダメージにはならない。
なら。
「接近戦で、決着を――」
雅樹の言葉を思い出す。
お前は、接近戦には向いていない。
分かっている。
絶対的な力量の差は感じている。
「……」
考えている間にも、灰色の炎が舞を包んでいく。
「とりあえず」
舞は両腕を広げる。そのゆびさきが触れるか触れないかという半径の水球が生まれ、舞を包み込む。
灰色の炎が、水球の表面をちりちりと焦がす。元々「存在し得ない炎」である灰色の炎が、水球を形作る舞の力と衝突している。
「!!」
雅樹の周りの水蒸気が、飛ぶ。
舞の把握できない空間が、生まれた。
できる? ううん、やってみせる!!
閃光の如く貫く火線が舞の水球に直撃し、水球はそれを弾く。
「後ろ!!」
舞は振り向きざま手を振り、それが水球の表面を尖らせ背後に飛び掛かる雅樹を薙ぐ。
一瞬。
雅樹と舞の目が合う。
雅樹は、悔やむような目で。
「ちっ」
舌打ちと共に雅樹の左手が赤く煌めき、爆音と共に尖った水球の表面を爆散させる。水球の形が崩れ、舞が水球の外へと放り出される。
「舞っ!」
周りには、死をもたらす灰色の炎。
「……っ」
死を覚悟する、舞。
手を伸ばす、雅樹。
俺には、殺せない!!
その伸ばした手が、消える。