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風雅、舞い - 第十二章 超越する存在 (27)
「くっそー、全勝は無理かな……」
 ソファでぐったりとする雅樹を、舞は睨む。
「何言ってんのバケモン」
 舞はずっとふてくされていた。
「バケモンゆーなって言ってるだろ」
「バケモンはバケモンよ。勝てると思ったのになー!!!」
「私の真似したのに勝てないなんて」
 一緒の部屋にいるリシュネは舞に嫌みを言う。
「真似じゃないって」
「真似だよ。水球で自分を守ったり、ネット状の攻撃をしたり」
 少年もリシュネに乗る。
「う……」
「仕方ないですよ、朴さんは不死身なんですから」
 俊雄がフォローする。
「不死身だけどよー、内臓がないぞう?」
「……」
「あーちょっと気分良くなってきた。おーい、ステーキ持ってこーい!!」
「言ったら出てくるの?」
「さあ」
「ねえ、あの血液と体液だけになった時に、蒸発させたりできなかったの?」
「あの状態じゃ無理。私の力は、気体から液体へは移しやすいんだけど逆はかなりの力が必要だから」
「それでも関係ねーよ。俺の意識、実際は脳みその中にないんだから」
「へ」
 全員が雅樹の方を向く。
「俺の心も穂香と同じ状態なんだろうな、その心で体を動かしてるってだけなんだ。だからどんな状態でも術は使える」
「それ、卑怯すぎ」
「……それ、人間じゃないんだよね」
 リシュネの率直な感想。
「だな。泉のせいでこうなったんだが、洗礼とは関係ないだろうから、俺達はイレギュラーなんだろ」
「……」
 少年は、憮然とする。
 自分は、特別ではなかったのか。
 と、智子から声が掛かる。
「焼き方は?」
「ウェルダンで」
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