「……ホーンが鳴らない」
反対の端で、少年は両腕を振り降ろした状態のまま、ホーンが鳴るのを待っていた。
だが、ホーンは鳴らない。
「躱された? 防がれた?」
躱されたはずは、ない。
でも、防がれた可能性はある。あまりに広範囲にしすぎて、威力が下がっていたはずだ。
「……」
状況がわからない。
以前は、それでも問題ないと考えていた。
でも、今は違う。
この肉体を易々と切り裂ける者がいる。
「弾丸だって通さないんだけどな……」
自分の体を見る。自信を持っていたこのAPの体。でもその体は、特別ではなかった。
じゃあ。
なんで自分はAPなんだ?
何のためにAPになったんだ!?
「……」
決まってる。
生きるためだ。
母子感染の危険性を避け、確実に産まれてくるためには、AP化は必要不可欠な処置だった。
父さんも母さんも、だからこそ決断したんだから。
「っ!」
突然、木々の中から舞が飛び掛かる。
少年は咄嗟に下がるが、舞は岩を蹴り追い付く。
「くそっ!!」
宙で体を起こして、近づく舞に回し蹴りを放つ。
舞はそれを躱さない。
蹴りが、舞の側頭部を蹴り飛ばす。
反対の端で、少年は両腕を振り降ろした状態のまま、ホーンが鳴るのを待っていた。
だが、ホーンは鳴らない。
「躱された? 防がれた?」
躱されたはずは、ない。
でも、防がれた可能性はある。あまりに広範囲にしすぎて、威力が下がっていたはずだ。
「……」
状況がわからない。
以前は、それでも問題ないと考えていた。
でも、今は違う。
この肉体を易々と切り裂ける者がいる。
「弾丸だって通さないんだけどな……」
自分の体を見る。自信を持っていたこのAPの体。でもその体は、特別ではなかった。
じゃあ。
なんで自分はAPなんだ?
何のためにAPになったんだ!?
「……」
決まってる。
生きるためだ。
母子感染の危険性を避け、確実に産まれてくるためには、AP化は必要不可欠な処置だった。
父さんも母さんも、だからこそ決断したんだから。
「っ!」
突然、木々の中から舞が飛び掛かる。
少年は咄嗟に下がるが、舞は岩を蹴り追い付く。
「くそっ!!」
宙で体を起こして、近づく舞に回し蹴りを放つ。
舞はそれを躱さない。
蹴りが、舞の側頭部を蹴り飛ばす。