「どこでやる」
「面倒ね、ここでいいでしょ？」
「いんや」
「周りを気にするの。じゃあ」
　遥は、音も立てずに舞の目の前に立つ。
「！？」
「おいおい」
「先にあなた達から殺すことに」
　右手の水刀が振りかぶられ
「しましょうか」
　遥の肩を掠め、同時に距離を取る。
「いつの間に……でも」
　舞に笑みが浮かぶ。
「二対一でいいの？」
　舞は臨戦態勢になり、さらに遥の背後に、雅樹が近づく。
「おい、てめぇ」
「ねぇ」
　遥が声を掛けた相手は、リシュネ。
「あなたは？」
「……」
　リシュネは、即答しない。口を噛み締め、遥を睨み返しているが、その手は、震えている。
「……リシュネ」
　震えているその手を見て、舞は、気付く。
　目の前の敵の、異常さを。
「わかった」
　リシュネが拳を握り締める。
「そっちの坊やはどうするの？　ねぇ、駆天」
　少年の目が見開く。
「……僕の名前を、呼ぶな」
　遥を中心に、四人が、囲む。