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風雅、舞い - 第十二章 超越する存在 (34)
「呼んどいてなんだけど、3人にはあっさり消えてもらいましょうか」
「殺すなよー」
「また難しいことゆぅー」
 甘えた声を出しながら、自然に、リシュネへと歩いていく。
「させない!!」
 舞は腕を振り、4本の水槍を放つ。
「え」
 その水槍が、遥を掠めて、通過する。
 その隙を狙ってリシュネが飛び掛かる。
「おそ〜い」
 それは風をも切り裂く速さだったにもかかわらず、遥の左廻し蹴りがリシュネの右ストレートを弾く。巨大なスカートが大きくひらめいた。
「ッ!!」
 そして右肘が折れる。遥はリシュネの右拳を掴み、肘を左足で蹴り折っていた。
「クソーッ!」
 少年が一歩を踏み込んだ時には、遥の左足は返す刀でリシュネの顎を捉え、その勢いで跳び、移動する。
「なめるなーっ!!」
 跳んだ先は、舞の目の前。
 舞が水の剣を構え、振るう。
「だから遅いって」
 自分の体が宙にあるにも関わらず、その体を回転させて、舞の剣を背中側に通過させる。
 着地と同時に
「ギッ」
 右足の踵で舞の右爪先を踏み抜き
「おっとっと」
 その右足を掛けてバランスを崩させつつ、自分は体を入れ替えて背後からの炎を躱す。
「……いい加減にしろ」
 舞は、痛みを忘れる。
 恐怖。
 それは、背後に立つ遥ではなく。
「そうそう」
 目の前に立つ、鬼の形相をした雅樹だった。
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