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風雅、舞い - 第十二章 超越する存在 (40)
「……?」
「雅樹!!」
 不思議な、気分だった。
 目を覚ますと、二人の女性が、涙を流していた。
 いや、「目を覚ます」という事そのものが、とてもとても、久しぶりだった。
「……俺、生きてるのか……」
 雅樹は頭を掻きながら、起きあがる。
「舞、穂香、心配掛けてすまなかったな……」
「ううん」
 舞は首を振って、それでもなお涙は止まらなかった。
「状況教えてくれ」
「えっと、今飛行機の中で」
「わり、二人一緒に話されると何がなんだか」
「あ……」
 雅樹が笑むと、舞は涙ながらに笑みを浮かべた。
「ごほん!」
 と、聞こえるように智子が咳払いをする。
「私もいるんだけど」
「あ」
「ここは帰路の飛行機の中。あなたは失神してここで治療中。って言っても、身体的な傷はすぐ回復してたけどね」
「そうか……」
「目を覚ましたかな」
 扉を叩く音。洋一が部屋に入ってくる。
「……」
 舞は敵意剥き出しで睨み付けるが、雅樹は冷静だった。
「なんだ?」
「閉会式だ」
 舞と雅樹、智子がリビングへと移る。そこにはリシュネ、少年、俊雄もいた。
「あいつは?」
「おはるさんは寝てる。遥は根っから猫みたいなやつだから」
「化け猫じゃないのか?」
「当たらずとも遠からず、かもな」
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