地下は、狭かった。
「たく……」
階段状の斜面を降りると、雅樹がベッド状に並べられた石に寝そべっていた。それなりに気を回したのか、いくつかの燭台には火が点けられていた。
その雅樹がいた部屋は、四畳ほどの部屋が三部屋あり、ひとつは物置、ひとつは台所、ひとつは寝室として使われていたようだった。
しかし、人がいた気配はほとんど残っていない。
「これ……戦前のもの?」
旧字体で書かれた本が数冊あるくらいで、食べ物の類はネズミか何かが食べ尽くしてしまっていた。
部屋を抜けると、さらに下へと降りる階段を見つける。人がやっと通れる空間を、体をよじって降りていく。
「……今地震が起きたら終りね」
「そんなことないですよ、ここは玄き泉なんですから」
「?」
自信たっぷりに言う舞を、智子は理解できなかった。
何メートルか降りると、足下がはねた。
「水だ」
「泉……」
懐中電灯を照らすと、半径1メートルほどの小さな空間があり、その床は水面によって覆われていた。
「すみません、ちょっと潜ってみます」
「え?」
と言ったときには、舞は数歩進み、落とし穴に落ちるように泉へと飲み込まれた。
「……嘘……」
智子は、理解できないものを見たかのように、頭が真っ白になった。
舞が、泉に落ちた。
「ぷはっ」
「え”」
智子の考えがまとまる前に舞は上がる。
「やっぱりここ、泉みたいです。ちょっと潜ったらすごい力で押し返されちゃいました」
何がなんだか理解できない智子に、舞はにっこりと笑って答えた。
「たく……」
階段状の斜面を降りると、雅樹がベッド状に並べられた石に寝そべっていた。それなりに気を回したのか、いくつかの燭台には火が点けられていた。
その雅樹がいた部屋は、四畳ほどの部屋が三部屋あり、ひとつは物置、ひとつは台所、ひとつは寝室として使われていたようだった。
しかし、人がいた気配はほとんど残っていない。
「これ……戦前のもの?」
旧字体で書かれた本が数冊あるくらいで、食べ物の類はネズミか何かが食べ尽くしてしまっていた。
部屋を抜けると、さらに下へと降りる階段を見つける。人がやっと通れる空間を、体をよじって降りていく。
「……今地震が起きたら終りね」
「そんなことないですよ、ここは玄き泉なんですから」
「?」
自信たっぷりに言う舞を、智子は理解できなかった。
何メートルか降りると、足下がはねた。
「水だ」
「泉……」
懐中電灯を照らすと、半径1メートルほどの小さな空間があり、その床は水面によって覆われていた。
「すみません、ちょっと潜ってみます」
「え?」
と言ったときには、舞は数歩進み、落とし穴に落ちるように泉へと飲み込まれた。
「……嘘……」
智子は、理解できないものを見たかのように、頭が真っ白になった。
舞が、泉に落ちた。
「ぷはっ」
「え”」
智子の考えがまとまる前に舞は上がる。
「やっぱりここ、泉みたいです。ちょっと潜ったらすごい力で押し返されちゃいました」
何がなんだか理解できない智子に、舞はにっこりと笑って答えた。