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風雅、舞い - 第十四章 混乱の我家 (3)
 その映像に、誰もが見入っていた。
 プロジェクター、それもオフィス用ではなくシアター用の物を使用して120インチのスクリーンに投射された映像は、陸上自衛隊の機械化部隊がAWによって壊滅していく行程をドラマチックに描き出していた。
 以前の映像を見て存在を理解した上での映像は、強い説得力を持っていた。AWは3体。どれも人型で、ヒトのサイズを超えていない。だが、一体は全身が濃いグレー、一体は巨大なプロレスラーをさらに一回り大きくした肉体を持っている。残りの一体はごく普通の人間に見えたが、それは土煙を巻き上げつつ銃弾を躱していた。
「あ」
 一人が嗚咽とも取れる声を上げる。人の姿をした一体が兵士達には脇目も振らず、数百メートル離れた90式のすぐ下まで駆け寄り、腕を薙ぐ。
 キャタピラが切り剥がされ、車体が崩れ落ちる。
 広大な敷地、肌色の地面がひたすら続く戦場をAW達が疾る。筋肉質のAWがボディアーマー越しに兵士を蹴りつけ、数メートル先まで吹き飛ばす。濃灰色の一体は無反動砲の直撃を受けながら、その噴煙の中から無傷の姿を表した。
 サイレンが鳴り、AW達は手を下ろす。兵士達はその場にしゃがみこみ、悪夢の終演を祝った。
 映像はそこで終わり、部屋に明かりが点く。男達がプロジェクターを取り替えて、本当のプレゼンのために準備を行う。
(まったく、とんでもないものを造ってくれたな)
 石和の隣に座る男が、小声でささやきかける。石和はそれに愛想笑いで答えつつ立ち上がる。頬の痕は見えず、右肩には突起物も見られず、その姿はごく普通の人間に見えた。
 会議室の端、PCの前へと立ってプレゼン用ファイルを開く。
 オフィス用のプロジェクターが、スクリーンに【Advanced Weapon 第4回中間報告】というタイトルを表示する。石和はマイクのスイッチを入れ、喜々としてプレゼンを開始した。
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