「あーっ、やっとみつけたー!」
肩を落として左の部屋から出てきたリシュネを舞は見つける。
「どうしたのいったい」
「……あ、えっとね……」
その棘のある声音に、舞は戸惑う。
あー、そういえば私何やってるんだろう、なんだかただ話し相手探してただけみたい……。
「ごめん、用事あった?」
「え……ない。でもあると言えばあるかも」
と、リシュネは手を伸ばし、舞の手を取る。
「え?」
「話し相手になって」
目の前の少女は、自分と同じことを思っていたようだった。
「……うん!」
満面の笑みを浮かべて、舞はリシュネと奥へ向かう。
「ね、あたしも同席していい?」
その声に向けて、リシュネは光の速さで睨み返した。
視線の先、フィオはたじろく。
「ちょ……声掛けただけでガン飛ばすっていうのは反則だと思うんだけど」
さすがにフィオも、APに正面切って刃向かうだけの度胸はなかった。父親の仕事の関係で、危険な橋を何度も渡ってきてはいたが、「相手が人なら何とかなる」という経験則も、今この場では活用できなかった。
「ついてこないで。行こ、舞」
「う、うん」
舞は複雑な気持ちでフィオを目の端に捉えていた。フィオを自分よりも毛嫌いするリシュネの姿にも驚いていたし、俊雄のことも含めてフィオと話してみたいとは思っていた。ただ、俊雄をAP化しようとしたことを許す気にはなれない。
そんな後ろ髪を引かれる気分で舞はリシュネにひきずられ、その数メートル後ろを、ゆっくりとフィオは付いていった。
肩を落として左の部屋から出てきたリシュネを舞は見つける。
「どうしたのいったい」
「……あ、えっとね……」
その棘のある声音に、舞は戸惑う。
あー、そういえば私何やってるんだろう、なんだかただ話し相手探してただけみたい……。
「ごめん、用事あった?」
「え……ない。でもあると言えばあるかも」
と、リシュネは手を伸ばし、舞の手を取る。
「え?」
「話し相手になって」
目の前の少女は、自分と同じことを思っていたようだった。
「……うん!」
満面の笑みを浮かべて、舞はリシュネと奥へ向かう。
「ね、あたしも同席していい?」
その声に向けて、リシュネは光の速さで睨み返した。
視線の先、フィオはたじろく。
「ちょ……声掛けただけでガン飛ばすっていうのは反則だと思うんだけど」
さすがにフィオも、APに正面切って刃向かうだけの度胸はなかった。父親の仕事の関係で、危険な橋を何度も渡ってきてはいたが、「相手が人なら何とかなる」という経験則も、今この場では活用できなかった。
「ついてこないで。行こ、舞」
「う、うん」
舞は複雑な気持ちでフィオを目の端に捉えていた。フィオを自分よりも毛嫌いするリシュネの姿にも驚いていたし、俊雄のことも含めてフィオと話してみたいとは思っていた。ただ、俊雄をAP化しようとしたことを許す気にはなれない。
そんな後ろ髪を引かれる気分で舞はリシュネにひきずられ、その数メートル後ろを、ゆっくりとフィオは付いていった。