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風雅、舞い - 第十四章 混乱の我家 (14)
 薙いだ腕が、母親の腕によって弾き返される。
「え――ぐッ!?」
 逆の腕でリシュネの顔面が叩かれ、頭がもげたのではないかというほどの勢いで数メートル弾け飛ぶ。
 両手を離し床に落ちる少年を舞が抱きかかえる。
『水霧よ刃となり網となりて』
『ギッ!』
 母親はさらに腕を振るい少年と舞へ叩き付けようとする。その腕が見えない何かによって切り刻まれ僅かに勢いが削がれる。
『絡め取り微塵と成せ!』
 腕は完全に動きを止め、その間に舞は少年を抱えて下がる。しかしその動きはぎこちない。
「フィオ! どこでもいいから水道の蛇口開けて!!」
「は、はい!」
 フィオは駆け出し、食堂の奥、厨房へと向かう。
 その方向に母親の視線が向く。手を上へと上げて、
『ギャ、イ”、ヴィ!』
 振り降ろす。同時に衝撃が疾り、テーブル、椅子、照明、観葉植物が薙ぎ倒される。
「ひっ!」
 厨房の向こうでフィオはかがみ、衝撃はカウンターを切り刻み半分を砕いて弾け飛んだ。
 再び腕を振り上げる。
『ギャ、』
『鮮血よ槍となりて貫き通せ!!』
 その振り上げた腕を赤い槍が貫き天井へと止める。
「い、痛、痛ッ!!」
 突き出した舞の左手首に穴が空き、血が滴っていた。
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