「うわーっ! まさに温泉街って感じですね!」
トラックの中から窓に貼り付いて外を眺めれば、川沿いに旅館や土産物屋が並び、浴衣を着た人達がちらほらと見えた。
「このあたりは確か隠れた名湯って言われていて、村に行ったときもここで一泊してから……」
そういえばあのとき、左さんがもう一泊しようって言って、かなりのんびりしたんだっけ。左さんって本当にルーズよね……。
「ここから村までは近いんですか?」
「近くはないわね……徒歩で2日くらいの距離ね」
「え”、そんなにあるんですか」
「あなたと彼ならすぐ着くと思うんだけど」
「ですね、ここで待ってもらう方がいいかも。せっかく温泉もあるし……」
そこかしこで湯気が上がり、トラックの中にも温泉らしい臭いが伝わってくる。
「山奥なのに結構にぎわってますね」
「山奥ってほどでもないでしょ。近くに駅もあるみたいだし」
川沿いにゆっくりと車を進めていき、橋へと曲がる。
「あれ、こっちって旅館ないみたいですよ」
「そりゃそうよ」
舞はきょとんとする。
「……え?」
「旅館には泊まらない、って言ってるの」
「えー? ファインダウト社って結構ケチなんですね」
「お金の問題じゃないの。こんな大きなトラックでいきなり来て予約もなしで泊めてくれる旅館なんてないでしょ。彼を駐車場に置いておくわけにもいかないし」
「そうなんですか……」
「目的忘れないの。遊びに来てるわけじゃないんだから」
「分かってはいるんですよ? 分かってるからっていうか」
「? ……まぁ、日帰り客用の温泉くらいなら入ってもいいけど」
「!」
音を立てて舞の顔が明るくなる。
「ただ、彼の状態しだいよ」
トラックの中から窓に貼り付いて外を眺めれば、川沿いに旅館や土産物屋が並び、浴衣を着た人達がちらほらと見えた。
「このあたりは確か隠れた名湯って言われていて、村に行ったときもここで一泊してから……」
そういえばあのとき、左さんがもう一泊しようって言って、かなりのんびりしたんだっけ。左さんって本当にルーズよね……。
「ここから村までは近いんですか?」
「近くはないわね……徒歩で2日くらいの距離ね」
「え”、そんなにあるんですか」
「あなたと彼ならすぐ着くと思うんだけど」
「ですね、ここで待ってもらう方がいいかも。せっかく温泉もあるし……」
そこかしこで湯気が上がり、トラックの中にも温泉らしい臭いが伝わってくる。
「山奥なのに結構にぎわってますね」
「山奥ってほどでもないでしょ。近くに駅もあるみたいだし」
川沿いにゆっくりと車を進めていき、橋へと曲がる。
「あれ、こっちって旅館ないみたいですよ」
「そりゃそうよ」
舞はきょとんとする。
「……え?」
「旅館には泊まらない、って言ってるの」
「えー? ファインダウト社って結構ケチなんですね」
「お金の問題じゃないの。こんな大きなトラックでいきなり来て予約もなしで泊めてくれる旅館なんてないでしょ。彼を駐車場に置いておくわけにもいかないし」
「そうなんですか……」
「目的忘れないの。遊びに来てるわけじゃないんだから」
「分かってはいるんですよ? 分かってるからっていうか」
「? ……まぁ、日帰り客用の温泉くらいなら入ってもいいけど」
「!」
音を立てて舞の顔が明るくなる。
「ただ、彼の状態しだいよ」