『おい、やめろって!』
『こいつが、こいつが成宮を殺ったんだ!』
『何者なんだよこいつ、なんで死なないんだよ……』
その言葉は、ようやく、少年の耳に届いた。
息絶えた母親の手をゆっくりと離す。母親の顔は、笑っていた。
その母親の脇腹には、自分の背に二本刺さっている物と同じ、二叉の銛が突き刺さっていた。
「……おまえら」
少年はゆっくりと立ち上がり、後ろを振り向く。
『ひぃっ!!』
少年を囲むように、三人の男がいた。
顔には、木でできた仮面。鬼のように厳めしい形相、額には角。その面があるために、声がくぐもって聞こえ、表情は見えない。
男の内、一人は二叉の銛を持ち、もう二人は武器を持っていない。
あの銛に、母親は殺された。
銛を持つ男を睨み付ける。男は猫のような声を上げて尻餅を付く。
「母さんがどれだけ痛かったか――」
少年は、母親に突き立てられた銛を掴み――
「思う存分味合わせて――?」
引き抜く――ことができない。
「岩に……? ッ!」
振り向こうとした瞬間、三度、銛。河守と呼ばれた男が、尻餅を付いた男から奪った銛を少年へと投げつけ、それは少年の胸に突き立てられた。
「……ふん」
少年は口から血を吹きながら不敵な笑みを浮かべ、胸に突き立てられた銛の柄を掴む。
「……なんで?」
銛は、抜けない。
『こいつが、こいつが成宮を殺ったんだ!』
『何者なんだよこいつ、なんで死なないんだよ……』
その言葉は、ようやく、少年の耳に届いた。
息絶えた母親の手をゆっくりと離す。母親の顔は、笑っていた。
その母親の脇腹には、自分の背に二本刺さっている物と同じ、二叉の銛が突き刺さっていた。
「……おまえら」
少年はゆっくりと立ち上がり、後ろを振り向く。
『ひぃっ!!』
少年を囲むように、三人の男がいた。
顔には、木でできた仮面。鬼のように厳めしい形相、額には角。その面があるために、声がくぐもって聞こえ、表情は見えない。
男の内、一人は二叉の銛を持ち、もう二人は武器を持っていない。
あの銛に、母親は殺された。
銛を持つ男を睨み付ける。男は猫のような声を上げて尻餅を付く。
「母さんがどれだけ痛かったか――」
少年は、母親に突き立てられた銛を掴み――
「思う存分味合わせて――?」
引き抜く――ことができない。
「岩に……? ッ!」
振り向こうとした瞬間、三度、銛。河守と呼ばれた男が、尻餅を付いた男から奪った銛を少年へと投げつけ、それは少年の胸に突き立てられた。
「……ふん」
少年は口から血を吹きながら不敵な笑みを浮かべ、胸に突き立てられた銛の柄を掴む。
「……なんで?」
銛は、抜けない。