沈んでいく。
深く深く、沈んでいく。
黒い黒い闇の中へ。
全てを飲み込む地の底へ。
これから死ぬ……もう体に突き刺さった銛を抜く力も気力も沸かない。
だから、このまま意識が消え、お母さんの所へ行く……と思っていたのに。
妙な不快感。
死に臨んで、なお恐怖する心。
もしかして、本当に地獄というものがあって、そこへと向かっているのだろうか、とすら少年が思った時。
声が、届いた。
『……お前は、何者だ』
……それは僕にも分からないな。僕は結局なんだったんだろう……。
『お前はヒトではない』
それは知ってるけど。
『我の知る血に似た匂いだ。それもふたつ。ひとつは、我のよく知る匂い、もうひとつは、古き友、懐かしき匂いだ』
昔って、僕は何年も生きてないんだけどね。
『お前の父親は、母親は』
お父さんはここにはいないし、お母さんは死んじゃった……このすぐ上にいるよ。
『あれか――なるほど』
何か分かったの? 僕は何者なの?
『お前には適正がある』
適正? 何の。
『我が力を受け継ぐ資格がお前にはある。お前の血には、我の力を赦す素が含まれている』
僕の血……お母さんの血……。
『お前の血は、過去の遺物によって強められている。本来であればお前には力を持つだけの器はなかったが、それを今、お前は備えている』
僕に……力をくれるの? APよりも強い?
『異なる種類の力だ。お前が持つミナクートの力は取り除くが、代わりにミナクートすら畏怖する龍の力を授けよう』
……どちらにしろ僕には選択肢がないんだ。だから、僕に力を――。
『では、洗礼を行う』
深く深く、沈んでいく。
黒い黒い闇の中へ。
全てを飲み込む地の底へ。
これから死ぬ……もう体に突き刺さった銛を抜く力も気力も沸かない。
だから、このまま意識が消え、お母さんの所へ行く……と思っていたのに。
妙な不快感。
死に臨んで、なお恐怖する心。
もしかして、本当に地獄というものがあって、そこへと向かっているのだろうか、とすら少年が思った時。
声が、届いた。
『……お前は、何者だ』
……それは僕にも分からないな。僕は結局なんだったんだろう……。
『お前はヒトではない』
それは知ってるけど。
『我の知る血に似た匂いだ。それもふたつ。ひとつは、我のよく知る匂い、もうひとつは、古き友、懐かしき匂いだ』
昔って、僕は何年も生きてないんだけどね。
『お前の父親は、母親は』
お父さんはここにはいないし、お母さんは死んじゃった……このすぐ上にいるよ。
『あれか――なるほど』
何か分かったの? 僕は何者なの?
『お前には適正がある』
適正? 何の。
『我が力を受け継ぐ資格がお前にはある。お前の血には、我の力を赦す素が含まれている』
僕の血……お母さんの血……。
『お前の血は、過去の遺物によって強められている。本来であればお前には力を持つだけの器はなかったが、それを今、お前は備えている』
僕に……力をくれるの? APよりも強い?
『異なる種類の力だ。お前が持つミナクートの力は取り除くが、代わりにミナクートすら畏怖する龍の力を授けよう』
……どちらにしろ僕には選択肢がないんだ。だから、僕に力を――。
『では、洗礼を行う』