肩で息をする雅樹。突きだしたままの左腕は肘から先がない。
店内は、支えを失い瓦解する天井からの粉塵が舞い上がっている。壁はコンクリートをむき出しにし、椅子やテーブルはその一部だけが残り、レジカウンターはガラス面を失い陳列棚だけとなっていた。
雅樹に笑みはない。
「……まったく、これ一度はやったことあるの?」
砂埃の中から遥が現れる。雅樹は笑みを浮かべ、腕を降ろす。
「ねぇ。でも、うまくいくと思った」
「なかなかいい線いっていたわ。でもその魔法は対象を消滅させるもの。広範囲を消し飛ばすのはあまりにも効率が悪すぎるわ」
「それにしたって、ダメージが少なすぎる」
遥は右腕を失っているだけで、服にすら傷がなかった。
「奥に行くに従って威力が落ちた、爆発で巻き起こった破片の消滅に多くの力が奪われた、自分で起こした爆発そのものを消し飛ばそうとしてしまった、というところかしらね」
「爆発を……?」
「赤い炎の爆発よ。あれを撃ったのは良くなかったわね、爆風を跳ねて奥に逃げられたし」
「無茶を言うな、撃たなきゃ、蒼炎を撃つ前に俺を攻撃できただろう?」
「そのくらい無視すればいいのに。なぜ捨て身で来なかったのかしらね?」
一度笑みを消し、再び浮かべてから、雅樹は立ち上がる。
「第二ラウンドがあるからな。長期戦といこうや」
雅樹は回復した右腕を構え、赤い炎を点す。
それを見て、遥はため息をつく。心底、幻滅した表情を見せて。
「あなたには失望したわ。特異点と期待したけどその程度とはね。ま、こんな簡単に見つかるわけないか……」
遥は、左手の人差し指で失った右腕のまわりに螺旋を描き真の言葉を紡ぐ。右腕が瞬時に復活した。
「な――ッ!!」
雅樹の側頭部を遥は蹴り抜き床に叩き付けた。
店内は、支えを失い瓦解する天井からの粉塵が舞い上がっている。壁はコンクリートをむき出しにし、椅子やテーブルはその一部だけが残り、レジカウンターはガラス面を失い陳列棚だけとなっていた。
雅樹に笑みはない。
「……まったく、これ一度はやったことあるの?」
砂埃の中から遥が現れる。雅樹は笑みを浮かべ、腕を降ろす。
「ねぇ。でも、うまくいくと思った」
「なかなかいい線いっていたわ。でもその魔法は対象を消滅させるもの。広範囲を消し飛ばすのはあまりにも効率が悪すぎるわ」
「それにしたって、ダメージが少なすぎる」
遥は右腕を失っているだけで、服にすら傷がなかった。
「奥に行くに従って威力が落ちた、爆発で巻き起こった破片の消滅に多くの力が奪われた、自分で起こした爆発そのものを消し飛ばそうとしてしまった、というところかしらね」
「爆発を……?」
「赤い炎の爆発よ。あれを撃ったのは良くなかったわね、爆風を跳ねて奥に逃げられたし」
「無茶を言うな、撃たなきゃ、蒼炎を撃つ前に俺を攻撃できただろう?」
「そのくらい無視すればいいのに。なぜ捨て身で来なかったのかしらね?」
一度笑みを消し、再び浮かべてから、雅樹は立ち上がる。
「第二ラウンドがあるからな。長期戦といこうや」
雅樹は回復した右腕を構え、赤い炎を点す。
それを見て、遥はため息をつく。心底、幻滅した表情を見せて。
「あなたには失望したわ。特異点と期待したけどその程度とはね。ま、こんな簡単に見つかるわけないか……」
遥は、左手の人差し指で失った右腕のまわりに螺旋を描き真の言葉を紡ぐ。右腕が瞬時に復活した。
「な――ッ!!」
雅樹の側頭部を遥は蹴り抜き床に叩き付けた。