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Machician - 第1話 空から王子が降ってきた (11)
「魔法勝負……ですか?」
 気乗りしない声だった。
「別に戦うわけじゃないよ、たとえば……」
 近くにある水道と清掃道具を指さす。
「あのバケツに水を張って、どっちがしっかり凍らせられるか、とか」
「それが証明になるんですか?」
「魔法の『現象』を記録してデータベースと照合すれば出自がわかるから」
「なるほど、そうすれば身の潔白が証明されるというわけですね。わかりました、やりましょう」
「というわけでさん、手伝って欲しいんだけど」
「断る」
「魔法のテストにあたるからHACからお金出るけど、それ彼の宿泊費に充てない?」
『どのファイル開けばいい?』
「早!」
「んじゃ私も」
 ジャージ装甲多脚に乗り込む。シーバリウ装甲多脚から距離を取って、杖を構える。
 …………………………。
紫恋神主、水くんできて』
「なんであたしが!」
「くんできたぞ」
「父さん手際良すぎ!」
 神主がバケツふたつを置く。両方とも水がたっぷり入っている。
「……凍ったら割れるだろう。その時は弁償してもらうということでいいのかな」
『はいはい、それは私が出すから』
「ありがとうございます」
 と言うシーバリウの目は真剣そのもの。その瞳はバケツから離れない。瞬きすらしない。
「……では、始め!」
 神主の声に応えて、シーバリウの杖が上がる。
創主が一人ゴナツの威を借りシーバリウが言霊として、発動せよアガルビナッツィオ!!
 呪文と共にバケツのまわりを光線が囲み、一瞬後に音を立ててバケツが割れる。中には完全な氷柱。
『すご!!』
 スピーカーから聞こえる声、ジャージのもの。
「すごい……」
 感嘆、うめのもの。
「……」
 紫恋神主は、驚嘆に言葉も出ない。
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