「あ、なるほど! じゃあこういうことなのかな」
ぱーっとノートに公式を使った別の式を書く。
「これをこうして……こんな感じ?」
その式を自分で解いてみる。
「そういうこと。あんた飲み込み早いねー」
「あはは、そうです?」
照れるうめ。
「それにしても、私とよくため口きけるよね」
「え”」
あせるうめ。
「…………気にしてました?」
「あ、別にいいんだけど、王子はちゃんと敬語使うから」
「あれは素だし」
「そうか素か」
「私、どうしても敬語って苦手なんですよねー。お客さんにもこういうふうに話しちゃって、よくママに怒られちゃうし」
ああ。
「そっか、旅館やっているから大人に慣れてるのか」
「それもあるかもしれないけど……ジャージさんって、そんなに年上って感じしないかな」
「ええっ!?」
それは、ジャージ自身が意外に感じた。
「ジャージさんって言動がおじさんくさい」
「ほっとけ」
「それにそのゴーグルだからそう見えるのかもしれないけど、私から見たらちょっとおねえさんくらいかな。背格好私と同じくらいだし」
「そっか……」
「ねぇ、そのゴーグル取ったとこ見せてくんない?」
「それはだめ」
「えー!?」
そうだった。
このゴーグルも、この小豆ジャージも、この言動も、目的があった事を忘れてた。
――人から、拒絶されること。
人から好かれないために。
でも。
「いつか見せてくださいね」
屈託なく笑ううめに、それは成功してないようだった。
ぱーっとノートに公式を使った別の式を書く。
「これをこうして……こんな感じ?」
その式を自分で解いてみる。
「そういうこと。あんた飲み込み早いねー」
「あはは、そうです?」
照れるうめ。
「それにしても、私とよくため口きけるよね」
「え”」
あせるうめ。
「…………気にしてました?」
「あ、別にいいんだけど、王子はちゃんと敬語使うから」
「あれは素だし」
「そうか素か」
「私、どうしても敬語って苦手なんですよねー。お客さんにもこういうふうに話しちゃって、よくママに怒られちゃうし」
ああ。
「そっか、旅館やっているから大人に慣れてるのか」
「それもあるかもしれないけど……ジャージさんって、そんなに年上って感じしないかな」
「ええっ!?」
それは、ジャージ自身が意外に感じた。
「ジャージさんって言動がおじさんくさい」
「ほっとけ」
「それにそのゴーグルだからそう見えるのかもしれないけど、私から見たらちょっとおねえさんくらいかな。背格好私と同じくらいだし」
「そっか……」
「ねぇ、そのゴーグル取ったとこ見せてくんない?」
「それはだめ」
「えー!?」
そうだった。
このゴーグルも、この小豆ジャージも、この言動も、目的があった事を忘れてた。
――人から、拒絶されること。
人から好かれないために。
でも。
「いつか見せてくださいね」
屈託なく笑ううめに、それは成功してないようだった。