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Machician - 第3話 三者三様 (17)
「それにしても、火、水、風、どれも使いこなせるとはね」
 缶コーヒーを放り投げて、シーバリウは受け取る。
「それはこちらの世界の思想でしたよね。我々の世界ではそのような分け方は基本的にありません。借威する対象にどのような借威魔法を許して頂くか――僕であれば、ゴナツ神は創主様、万能神ですから、憶える魔法に制限はありません」
「憶えるってことは、今何でも使えるわけじゃないんだ」
「ええ、年に一度、新洗礼の儀があります。その際に信仰の強さを見て頂き、身の丈に合った強さの魔法の中から、僕が望むものを借り受けるわけです」
「洗礼って、ゴナツ神様直々に?」
「めめめ、滅相もない!」
 シーバリウは首を大きく横に振る。
「洗礼をして頂くのは神官殿です。ゴナツ様には幼少のみぎり、一度だけ、最初の洗礼の時にお目通りが適っただけで……」
「え、でも会ったことはあるんだ」
「?」
「いやさ、こっちの世界には、神様に会った人はいないんだよね」
 遥か昔はともかく、現代のこの世界に、実体としての神様は存在しない。
「彼の世界には本当の神様がいるんだ……神様がいるんなら、みんな信心深いんでしょうね」
「それが……」
 シーバリウは苦笑いする。
「?」
「我々の世界には、神様が確かに存在します。なのに・・・、なにもしてくれません。魔法を借り受けるだけで、行使するのは我々ですから」
「……なるほど、見てるだけで何もしない神様、ってわけね、しかも本当にいるんだから……あ、そういえば、魔法の回数制限ってある?」
「はい、先ほどの炎焼魔法や氷結魔法であれば、今日はあと13回といったところでしょうか」
「今日は?」
「ええ、24時を過ぎたら回数は復元します」
「はー……なんかさぁ、ホントにこっちの世界のゲームみたいな話だね」
「僕から言わせれば、ゲームがマネをしたんです」
「はは、そりゃそうかも。そういえばさ、そういうのの定番で、動物みたいな使い魔っていうのがお供についてきたりするもんなんだけど」
「ああ、サウザンですね。いつも祖母と一緒にいました」
「ホントにいるの……じゃあなんであんたにはいないの?」
「あ、えーっと、はは……」
「?」
 シーバリウは、苦笑いする。
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