「僕には使い魔はいないんです、ごめんなさい」
「謝らなくてもいいけど……」
ジャージは腕を組んで、考える、思い出す。
「……? どうされましたか?」
「……えっと……」
少し言いよどむジャージ。
「訊いていいのかな……」
思案の末、意を決して、ジャージは尋ねる。
「あんたさぁ、向こうでなんか、その……恨みとか買ってるの?」
「え?」
「ほらさ、こっちに来るのに一人だったり、ネゴなかったり、お金もなかったっていうじゃない、だから、ちょっと気になって……そういうの大丈夫なの?」
にっこり笑って。
「恨まれない為政者はいませんよ」
「あ……」
目を伏せるシーバリウ。口元には笑顔。どこか諦めた笑顔。
「ジャージさんの思っている通りです。本来であれば……私の祖母の時のように、こちらに逗留先を用意するなどの助力があったはずなのですが……」
「それをすべき人が、それをしなかった……サボタージュってわけね……」
シーバリウは目を細める。ルイン殿は確かフィオ派だったはず、ならこの仕打ちは当然かもしない…………そうされるだけのことを、僕はしたのだから。
「でも」
僕は王子になると決めた。
だからそれを、苦痛と感じてはいけない。
感じては、いけない。
だから。
にっこりと笑って。
「僕は、大丈夫ですから」
「――っ、」
「それに、皆さんお優しいですから、私は本当に助かったんですよ?」
と、付け加えることも忘れない。
優しい笑顔で。
壊れそうなほど、とジャージが感じた笑みで。
「っ…………………………」
な……。
何言ってんのよ!
何笑ってんのよ!!
お人好しにも程があるわよ!
嫌なら嫌って言いなさいよ!
もっとちゃんと怒んなさいよ!!
なんで怒んないのよ!
なんで笑ってんのよ!
なんで、なんで、なんで、
「な、なんかちょっと照れちゃうわね、あはははは……」
……なんでそんなことしか言えないのよ、私は……。
「謝らなくてもいいけど……」
ジャージは腕を組んで、考える、思い出す。
「……? どうされましたか?」
「……えっと……」
少し言いよどむジャージ。
「訊いていいのかな……」
思案の末、意を決して、ジャージは尋ねる。
「あんたさぁ、向こうでなんか、その……恨みとか買ってるの?」
「え?」
「ほらさ、こっちに来るのに一人だったり、ネゴなかったり、お金もなかったっていうじゃない、だから、ちょっと気になって……そういうの大丈夫なの?」
にっこり笑って。
「恨まれない為政者はいませんよ」
「あ……」
目を伏せるシーバリウ。口元には笑顔。どこか諦めた笑顔。
「ジャージさんの思っている通りです。本来であれば……私の祖母の時のように、こちらに逗留先を用意するなどの助力があったはずなのですが……」
「それをすべき人が、それをしなかった……サボタージュってわけね……」
シーバリウは目を細める。ルイン殿は確かフィオ派だったはず、ならこの仕打ちは当然かもしない…………そうされるだけのことを、僕はしたのだから。
「でも」
僕は王子になると決めた。
だからそれを、苦痛と感じてはいけない。
感じては、いけない。
だから。
にっこりと笑って。
「僕は、大丈夫ですから」
「――っ、」
「それに、皆さんお優しいですから、私は本当に助かったんですよ?」
と、付け加えることも忘れない。
優しい笑顔で。
壊れそうなほど、とジャージが感じた笑みで。
「っ…………………………」
な……。
何言ってんのよ!
何笑ってんのよ!!
お人好しにも程があるわよ!
嫌なら嫌って言いなさいよ!
もっとちゃんと怒んなさいよ!!
なんで怒んないのよ!
なんで笑ってんのよ!
なんで、なんで、なんで、
「な、なんかちょっと照れちゃうわね、あはははは……」
……なんでそんなことしか言えないのよ、私は……。