「ええっ? 今日外回りなんですか?」
「そだよ」
プリントを渡すジャージ。今日は紫恋とシーバリウのふたりで町の各店を回る予定になっていた。
「あー、じゃあこれ、無駄に……あ、ジャージさん食べません?」
神社の階段に座って、うめはバッグから弁当箱を取り出す。シーバリウ用の男物の弁当箱。
「いいの? 遠慮なく食べちゃうけど」
「どうぞどうぞ」
シーバリウの弁当は、ごく普通の完璧な弁当だった。何度も作れば出てきそうな手を抜いている箇所も見あたらない、隙のない中身だった。
「はー、ワンパターンな返答で悪いけど、あんたいい奥さんになるよ」
「って、私シェフの娘だし」
「あ、そっか」
旅館山田屋、そのシェフでありうめの父親でもある錦の料理のうまさはジャージも毎日食べて知っている。
「じゃあ、旅館継ぐの?」
「うーん、それはわかんないけど。パパの代わりってイメージ沸かないし、ママの代わりなんてもっとイメージ沸かないし」
「そんなもんかもね」
といいつつ箸を進め、やっぱり美味しいなぁと思っていると、うめは箸を止めて物思いにふけっていた。
「うめ?」
「え? あ、ぼーっとしてました?」
「うんしてた」
「……聞いてくれます?」
「何を?」
「ちょっと、王子と一緒に旅館やってくの想像してて」
「う”、のろけ話?」
それは苦手な分野だった……が、興味もあった。
「将来、私がシェフやって料理作って、王子がウェイターとかやって料理運んで……なんかそれってちょっと理想かなーって」
「理想……」
理想……?
確かに、絵的には理想かもしれないけど……なんか違うような気がする。
シーバリウがウェイター?
想像すると格好いい。それは認める。
けど……。
「そだよ」
プリントを渡すジャージ。今日は紫恋とシーバリウのふたりで町の各店を回る予定になっていた。
「あー、じゃあこれ、無駄に……あ、ジャージさん食べません?」
神社の階段に座って、うめはバッグから弁当箱を取り出す。シーバリウ用の男物の弁当箱。
「いいの? 遠慮なく食べちゃうけど」
「どうぞどうぞ」
シーバリウの弁当は、ごく普通の完璧な弁当だった。何度も作れば出てきそうな手を抜いている箇所も見あたらない、隙のない中身だった。
「はー、ワンパターンな返答で悪いけど、あんたいい奥さんになるよ」
「って、私シェフの娘だし」
「あ、そっか」
旅館山田屋、そのシェフでありうめの父親でもある錦の料理のうまさはジャージも毎日食べて知っている。
「じゃあ、旅館継ぐの?」
「うーん、それはわかんないけど。パパの代わりってイメージ沸かないし、ママの代わりなんてもっとイメージ沸かないし」
「そんなもんかもね」
といいつつ箸を進め、やっぱり美味しいなぁと思っていると、うめは箸を止めて物思いにふけっていた。
「うめ?」
「え? あ、ぼーっとしてました?」
「うんしてた」
「……聞いてくれます?」
「何を?」
「ちょっと、王子と一緒に旅館やってくの想像してて」
「う”、のろけ話?」
それは苦手な分野だった……が、興味もあった。
「将来、私がシェフやって料理作って、王子がウェイターとかやって料理運んで……なんかそれってちょっと理想かなーって」
「理想……」
理想……?
確かに、絵的には理想かもしれないけど……なんか違うような気がする。
シーバリウがウェイター?
想像すると格好いい。それは認める。
けど……。