「だからと言って、放っておくわけにはいかない」
待逢家の居間。
待逢賢二は眉間に皺を寄せてそう言う。
「もう3日目ですよ!? ふりかは大丈夫なんでしょうか……」
花山ふりかの父、花山武がおろおろとうなだれる。
「セラフに乗っている間、電力はセラフから供給されますから、当分は大丈夫だと思います」
制服姿の姫山巡査が冷静に説明する。
「肉体的には大丈夫でしょうけど……」
ジャージがテーブルに肩肘をついて溜息をつく。
「でも、あれのおかげで注目を浴びてるのは確かなんだろ? ならもう少し広告効果っての期待してもいいんじゃねーの?」
林田と一緒にいた男があっけらかんと言う。
「それはもういいでしょう。今はふりかさんの救出を第一に考えるべきです」
シーバリウが体を乗り出して言う。
「わーってるよ。……俺だって、林田さんがあんなことするなんて思ってもみなかったんだから」
「でも、あれはやりすぎでしょう」
「あのひとは……深くは考えずに行動したのだと思う……」
賢二の声には、様々な感情が入り交じっている。自分の兄が引き起こした事態に、怒り、恥辱、理解、そのすべてを感じてしまう。
「大丈夫です、何も起こさせません。今のところは大丈夫なんですよね」
「はい。パイロットシートとガナーシートは基本的に独立しているんです」
紙に描いた図で説明する。胴体部に、パイロットシートとガナーシートが上下に重なるようにして配置されている。
「パイロットシートで移動、ガナーシートで手の操作を行います。緊急時、たとえばワース装着者の意識がなくなるといったことがない限り、この分担は変わりません」
「林田さんは手しか使えないってことか」
「ですが、ふたつ問題があります。ひとつは銃です。このセラフは腰に銃が装着されているんです」
「なんで銃なんかあるんだ?」
「それは、警察のものですから」
姫山巡査は当然のように答える。
「もうひとつの問題は人質の花山ふりかちゃんです。ふりかちゃんは今、こういう状態で乗っていると思います」
ガナーシート、林田の上に乗るような形を描く。
「ワースには外から強制的に開くためのスイッチがあります。ガナーシートは完全な密閉状態ですから、その中で開かれれば即死の可能性もあります」
「……」
花山の顔は見ず、姫山巡査は事務的に説明する。
待逢家の居間。
待逢賢二は眉間に皺を寄せてそう言う。
「もう3日目ですよ!? ふりかは大丈夫なんでしょうか……」
花山ふりかの父、花山武がおろおろとうなだれる。
「セラフに乗っている間、電力はセラフから供給されますから、当分は大丈夫だと思います」
制服姿の姫山巡査が冷静に説明する。
「肉体的には大丈夫でしょうけど……」
ジャージがテーブルに肩肘をついて溜息をつく。
「でも、あれのおかげで注目を浴びてるのは確かなんだろ? ならもう少し広告効果っての期待してもいいんじゃねーの?」
林田と一緒にいた男があっけらかんと言う。
「それはもういいでしょう。今はふりかさんの救出を第一に考えるべきです」
シーバリウが体を乗り出して言う。
「わーってるよ。……俺だって、林田さんがあんなことするなんて思ってもみなかったんだから」
「でも、あれはやりすぎでしょう」
「あのひとは……深くは考えずに行動したのだと思う……」
賢二の声には、様々な感情が入り交じっている。自分の兄が引き起こした事態に、怒り、恥辱、理解、そのすべてを感じてしまう。
「大丈夫です、何も起こさせません。今のところは大丈夫なんですよね」
「はい。パイロットシートとガナーシートは基本的に独立しているんです」
紙に描いた図で説明する。胴体部に、パイロットシートとガナーシートが上下に重なるようにして配置されている。
「パイロットシートで移動、ガナーシートで手の操作を行います。緊急時、たとえばワース装着者の意識がなくなるといったことがない限り、この分担は変わりません」
「林田さんは手しか使えないってことか」
「ですが、ふたつ問題があります。ひとつは銃です。このセラフは腰に銃が装着されているんです」
「なんで銃なんかあるんだ?」
「それは、警察のものですから」
姫山巡査は当然のように答える。
「もうひとつの問題は人質の花山ふりかちゃんです。ふりかちゃんは今、こういう状態で乗っていると思います」
ガナーシート、林田の上に乗るような形を描く。
「ワースには外から強制的に開くためのスイッチがあります。ガナーシートは完全な密閉状態ですから、その中で開かれれば即死の可能性もあります」
「……」
花山の顔は見ず、姫山巡査は事務的に説明する。