シャッターを開けると、強い陽の光が差し込んでくる。紫恋はそれを眩しそうに見上げる。
「そうだ」
と、紫恋が振り返る。
「ひとつ訊きたいんですけど、なぜジャージさんは、王子のことシーバリウって呼ぶんです? 最初はジャージさんも王子って呼んでたと思いますけど」
「ん……王子はさ、向こうでは王子だったかもしれないけど、こっちでは違うじゃん」
「え……」
「だったら、こっちにいる間はちゃんと名前で呼ぼうかなって」
「ジャージさんも、王子が国で嫌われてた、って知ってるんですか?」
ジャージはうなずく。
「だって、一国の王子が、たった一人で異国の地に来るなんて、ありえないでしょ」
「そういえばそうですね……」
「あいつがいいやつなのも、そういう中で生きていくための処世術なのかなー」
「ジャージさんは逆ですけどね」
「?」
「ジャージさんは、普段つっけんどんなのに、こうやって親身に話を聞いてくれたりするじゃないですか」
「え……そ、そう?」
照れるジャージ。
「そうやって距離を取るのって、なんかもったいないかなって思いますけど。ゴーグル取って、着替えれば、恋人の一人や二人、簡単にできそうだなって」
「……それは、あんたもでしょ」
「え?」
紫恋はきょとんとする。
「今日、ずっと敬語使ってる」
「あ……」
「あんたも人見知りして、距離取るタイプなの? 私は別に気にしないから、タメでいいよ」
「じゃあジャージ、パン買ってこい」
「タメどころかパシリかよ!」
と、けらけらと二人は笑う。
「ん、じゃあ言ってくる」
「大丈夫?」
「大丈夫、です」
紫恋はにっこりと笑って、陽の光の中に消えていった。
「……」
ジャージはそれを複雑な気持ちで見送ってから、シャッターを閉める。
「シーバリウと、紫恋が、ねぇ……」
二人のその姿を想像する。
眉間が険しくなる。
「……って、私は別にシーバリウの事なんか……?」
ジャージの目は、装甲多脚に継ながれたモニターに釘付けになった。
その、とてつもなく高い値に。
「そうだ」
と、紫恋が振り返る。
「ひとつ訊きたいんですけど、なぜジャージさんは、王子のことシーバリウって呼ぶんです? 最初はジャージさんも王子って呼んでたと思いますけど」
「ん……王子はさ、向こうでは王子だったかもしれないけど、こっちでは違うじゃん」
「え……」
「だったら、こっちにいる間はちゃんと名前で呼ぼうかなって」
「ジャージさんも、王子が国で嫌われてた、って知ってるんですか?」
ジャージはうなずく。
「だって、一国の王子が、たった一人で異国の地に来るなんて、ありえないでしょ」
「そういえばそうですね……」
「あいつがいいやつなのも、そういう中で生きていくための処世術なのかなー」
「ジャージさんは逆ですけどね」
「?」
「ジャージさんは、普段つっけんどんなのに、こうやって親身に話を聞いてくれたりするじゃないですか」
「え……そ、そう?」
照れるジャージ。
「そうやって距離を取るのって、なんかもったいないかなって思いますけど。ゴーグル取って、着替えれば、恋人の一人や二人、簡単にできそうだなって」
「……それは、あんたもでしょ」
「え?」
紫恋はきょとんとする。
「今日、ずっと敬語使ってる」
「あ……」
「あんたも人見知りして、距離取るタイプなの? 私は別に気にしないから、タメでいいよ」
「じゃあジャージ、パン買ってこい」
「タメどころかパシリかよ!」
と、けらけらと二人は笑う。
「ん、じゃあ言ってくる」
「大丈夫?」
「大丈夫、です」
紫恋はにっこりと笑って、陽の光の中に消えていった。
「……」
ジャージはそれを複雑な気持ちで見送ってから、シャッターを閉める。
「シーバリウと、紫恋が、ねぇ……」
二人のその姿を想像する。
眉間が険しくなる。
「……って、私は別にシーバリウの事なんか……?」
ジャージの目は、装甲多脚に継ながれたモニターに釘付けになった。
その、とてつもなく高い値に。