「高士さん!!」
石人との距離を保ち、母を守ることだけを考えていた高士が、シーバリウの声で自分を取り戻す。
「むらさきさんを連れて装甲多脚の中に隠れてください!」
「――わかった」
「え、ちょっと」
高士がむらさきを立ち上がらせる。
「ちょっと待って、紫恋ちゃんは!?」
「王子がああ言ったんだ、きっと何とかしてくれる」
「えっ、ちょっと!」
むらさきは紫恋を見つめる。
紫恋は、うめを背中から抱いていた。
「うめ、もうちょっとだけ我慢できる?」
「う”、うん……何するの? 王子みたくえっちなことでもするの?」
「それより気持ちいいかもよ?」
「え……」
紫恋は目を閉じ、唱える。
『白糸紡ぎし、風の絹』
白刃が背を破り空を射抜き――
『纏いし我が身、藍の空へと』
――純白へと変化して二人を包む神々しい両羽と成った。
「し、紫恋?」
「なんだ、痛くないんだ。つまんないの。じゃ、うめ、行くよ」
「え、ちょっと」
答える間も与えず、紫恋はうめを抱え上げ、その両の翼をはためかせ、飛び上がる。
『へ……うわーっ、飛んでる!』
「ジャージさん、錦さん、高士さんとむらさきさんを連れてできるだけ遠くまで逃げてください!」
『え? うわっ!』
気を抜いた一瞬を突いて、石人が装甲多脚を投げ飛ばす。
『ひっくりがえるひっくりがえる!!』
なんとか体制を立て直す装甲多脚。が、石人はそれには目もくれず、上空の紫恋を探す。
『ツィオ 』
シーバリウが剣を地面に突き立てると、石人の視線はシーバリウへと向く。
『アーガナーザイルフェブラル 』
石人が踏み込みシーバリウを殴りつける。が、シーバリウの体は鋼の如く微動だにしない。
『イナディヴァリスナートグクドゥ 』
星の瞬きのような無数の光点が現れ、境内を遥に超えて包み込む。
『ツヅヌークスイヴァ 』
シーバリウは剣を抜き、上段に構える。その一点を狙い、光点が動き出す。
『ルンルーニスティガノヌトリア 』
逆手に持ち替え、石人の胸へと――
『イードリッツノガリアダットス!! 』
突き立てる!!
石人との距離を保ち、母を守ることだけを考えていた高士が、シーバリウの声で自分を取り戻す。
「むらさきさんを連れて装甲多脚の中に隠れてください!」
「――わかった」
「え、ちょっと」
高士がむらさきを立ち上がらせる。
「ちょっと待って、紫恋ちゃんは!?」
「王子がああ言ったんだ、きっと何とかしてくれる」
「えっ、ちょっと!」
むらさきは紫恋を見つめる。
紫恋は、うめを背中から抱いていた。
「うめ、もうちょっとだけ我慢できる?」
「う”、うん……何するの? 王子みたくえっちなことでもするの?」
「それより気持ちいいかもよ?」
「え……」
紫恋は目を閉じ、唱える。
『白糸紡ぎし、風の絹』
白刃が背を破り空を射抜き――
『纏いし我が身、藍の空へと』
――純白へと変化して二人を包む神々しい両羽と成った。
「し、紫恋?」
「なんだ、痛くないんだ。つまんないの。じゃ、うめ、行くよ」
「え、ちょっと」
答える間も与えず、紫恋はうめを抱え上げ、その両の翼をはためかせ、飛び上がる。
『へ……うわーっ、飛んでる!』
「ジャージさん、錦さん、高士さんとむらさきさんを連れてできるだけ遠くまで逃げてください!」
『え? うわっ!』
気を抜いた一瞬を突いて、石人が装甲多脚を投げ飛ばす。
『ひっくりがえるひっくりがえる!!』
なんとか体制を立て直す装甲多脚。が、石人はそれには目もくれず、上空の紫恋を探す。
『
シーバリウが剣を地面に突き立てると、石人の視線はシーバリウへと向く。
『
石人が踏み込みシーバリウを殴りつける。が、シーバリウの体は鋼の如く微動だにしない。
『
星の瞬きのような無数の光点が現れ、境内を遥に超えて包み込む。
『
シーバリウは剣を抜き、上段に構える。その一点を狙い、光点が動き出す。
『
逆手に持ち替え、石人の胸へと――
『
突き立てる!!