「彼女、実はシーバリウの婚約者なんです」
「へ?」
とんでもない事を言い出した紫恋に、素っ頓狂な返事を返したジャージを、女医は苦笑いで許容した。
「……これからは、ちゃんと口裏を合わせてから嘘を付きなさい」
女医はカルテを渡す。
「……いいんですか?」
「彼の地との兼ね合いもあって、私達には柔軟な対応が求められるの。HAC寄りの組織で、しかも魔法を管轄していると言っても、それでも私だって彼の地には2回しか行ってないし。だから、このくらいは許されるわ」
「はぁ」
望んだ結果になったとはいえ、微妙に納得がいかなかったが、それでも素直にジャージはIDカードをかざす。認証の文字が浮かび、サインが書き込まれる。
「ありがとう。じゃあ検査後、明日リセットするから」
「立ち会えます?」
「ええ。時間は後で連絡するわ」
診察室を出た後、紫恋は笑顔、ジャージは溜息だった。
「よくあんなこと言えるわよね……」
そのジャージの顔は赤らんでいた。
「ジャージは関係ないの、先生がわかってくれそうな人だったから」
「なるほど、友軍は頼らず、敵の弱点を突いたってわけね」
「何よその棘のある言い方。別に結果がよかったんだからいいじゃない」
「まあそうなんだけど……」
言い淀むジャージに、紫恋は顔を覗き込む。
「……この前訊いたこと、もう一度訊いていい?」
「?」
「私、王子とセックスしたんだけど」
「!」
ジャージはさらに顔を赤らめる。
「そ、そんなのこんなとこで……」
「しまった、ちょっと間違えた……そういう対応見たかったんじゃないんだけど」
「……じゃあ、何を見たかったの?」
「ジャージが、王子のこと意識してるのか確認したかった」
「……」
ジャージはうつむく。
「そんなの、わかんない」
「子供みたいなこと言うのねー」
「どうせ子供だもん、したことないし」
「それはこの前訊いた」
「……あんたはどうなの?」
「私、ねぇ……」
「へ?」
とんでもない事を言い出した紫恋に、素っ頓狂な返事を返したジャージを、女医は苦笑いで許容した。
「……これからは、ちゃんと口裏を合わせてから嘘を付きなさい」
女医はカルテを渡す。
「……いいんですか?」
「彼の地との兼ね合いもあって、私達には柔軟な対応が求められるの。HAC寄りの組織で、しかも魔法を管轄していると言っても、それでも私だって彼の地には2回しか行ってないし。だから、このくらいは許されるわ」
「はぁ」
望んだ結果になったとはいえ、微妙に納得がいかなかったが、それでも素直にジャージはIDカードをかざす。認証の文字が浮かび、サインが書き込まれる。
「ありがとう。じゃあ検査後、明日リセットするから」
「立ち会えます?」
「ええ。時間は後で連絡するわ」
診察室を出た後、紫恋は笑顔、ジャージは溜息だった。
「よくあんなこと言えるわよね……」
そのジャージの顔は赤らんでいた。
「ジャージは関係ないの、先生がわかってくれそうな人だったから」
「なるほど、友軍は頼らず、敵の弱点を突いたってわけね」
「何よその棘のある言い方。別に結果がよかったんだからいいじゃない」
「まあそうなんだけど……」
言い淀むジャージに、紫恋は顔を覗き込む。
「……この前訊いたこと、もう一度訊いていい?」
「?」
「私、王子とセックスしたんだけど」
「!」
ジャージはさらに顔を赤らめる。
「そ、そんなのこんなとこで……」
「しまった、ちょっと間違えた……そういう対応見たかったんじゃないんだけど」
「……じゃあ、何を見たかったの?」
「ジャージが、王子のこと意識してるのか確認したかった」
「……」
ジャージはうつむく。
「そんなの、わかんない」
「子供みたいなこと言うのねー」
「どうせ子供だもん、したことないし」
「それはこの前訊いた」
「……あんたはどうなの?」
「私、ねぇ……」