ギプスに松葉杖。
その姿が、痛々しいことに違いはない。
でも。
「……」
ワゴンの運転席から、もう10分、見続けている。
何気ない雰囲気の、4人。
駅の入口で、うめ、王子、紫恋、ジャージの4人が歓談している。時々うめが大声を上げるが、その声は聞き取れなかった。
「……」
あらを、探している。
理由を、求めている。
「なんでやねん」という声が聞こえそうなほどのタイミングで、王子が何かを言い、そこにうめがツッコミを入れている。
時々怒るくらいで、会話は笑いに溢れていた。
「……」
あらはなかった。
理由も存在しない。
うめの笑いは自然で、でも、見慣れない笑顔だと思った。
見慣れない、笑顔だった。
王子に、彼らだけに見せる笑顔なのかもしれない。
その笑顔が、右足の傷によって曇ることはない。
「……そっか」
そして、やっと、自分を説得することができた。
これが、本当の姿なのだと。
自分に見せてきたものは、真実ではなかったのだと。
そして、たとえそうだとしても、この本当の姿を守ってやらねばならないことを。
時間を掛けてゆっくりと、見守っていかなければならないことを。
「ずっと、いい父親をやっていけると思ったのにな」
クラクションを押す。その高い音は、まるで失われた気持ちを弔う号砲のようだった。
クラクションに気付いたうめが、驚いた顔で近づいてくる。シーバリウと紫恋の顔が目に見えて曇。済まなそうな視線を向ける。
いいんだ、別に恨んじゃいなかったんだ、きっと。
そう自分に言い聞かせるために、錦は笑顔で手を振った。
その姿が、痛々しいことに違いはない。
でも。
「……」
ワゴンの運転席から、もう10分、見続けている。
何気ない雰囲気の、4人。
駅の入口で、うめ、王子、紫恋、ジャージの4人が歓談している。時々うめが大声を上げるが、その声は聞き取れなかった。
「……」
あらを、探している。
理由を、求めている。
「なんでやねん」という声が聞こえそうなほどのタイミングで、王子が何かを言い、そこにうめがツッコミを入れている。
時々怒るくらいで、会話は笑いに溢れていた。
「……」
あらはなかった。
理由も存在しない。
うめの笑いは自然で、でも、見慣れない笑顔だと思った。
見慣れない、笑顔だった。
王子に、彼らだけに見せる笑顔なのかもしれない。
その笑顔が、右足の傷によって曇ることはない。
「……そっか」
そして、やっと、自分を説得することができた。
これが、本当の姿なのだと。
自分に見せてきたものは、真実ではなかったのだと。
そして、たとえそうだとしても、この本当の姿を守ってやらねばならないことを。
時間を掛けてゆっくりと、見守っていかなければならないことを。
「ずっと、いい父親をやっていけると思ったのにな」
クラクションを押す。その高い音は、まるで失われた気持ちを弔う号砲のようだった。
クラクションに気付いたうめが、驚いた顔で近づいてくる。シーバリウと紫恋の顔が目に見えて曇。済まなそうな視線を向ける。
いいんだ、別に恨んじゃいなかったんだ、きっと。
そう自分に言い聞かせるために、錦は笑顔で手を振った。