KAB-studio > Machician > 第8話 アイとコイと (15)
Machician - 第8話 アイとコイと (15)
 待逢家、紫恋の部屋。
 うめはベッドに座り、紫恋は着替えていた。
「ねー、訊いていい?」
「いいよ」
「……王子と、って、どうだった?」
「どうって、どういうことしたのか知りたいならビデオ貸すけど」
「そういうことじゃなくって!」
「それに、詳しく訊くなら王子からの方がいいかもよ」
「そんなの訊けるわけないじゃない!」
「私あの時性格変わってたから、ちょっと記憶曖昧なのよねー」
 嘘だけど。
「…………悔しい! なんか悔しいな! 王子のこともそうだけど、先越されたのも悔しい!」
「先って?」
「そりゃもちろん……え?」
「……しまった……」
 紫恋が顔を押さえる。
「何? もしかして紫恋王子が初めてじゃなかったの!?」
「えー、えーっと、ねぇ」
「ちょっと待った、紫恋、いつ? 誰と!? どうやって!??」
「いやどうやっては普通みんな同じだと思うけど」
「はぐらかさない!」
 ……先に謝っとく、ごめん。
「結構前に、月島のお兄さんと」
「……嘘」
「噂は本当だったってことよ、月島のお兄さんかなりの遊び人だったんだから」
「うそー、私フラれたのに……」
「いや私だってそれっきりだったし、むしろうめの方が良かったんじゃない?」
「……何よそれぇ、紫恋には負けるし、王子の初めてにもなれなかったし、本当悔しい!」
「初めて?」
「?……えー??」
「おうじー!!」
 窓から体を乗り出して、下にいる王子に呼びかける。
「? なんでしょうか」
王子は初体験っていつ?」
「!? な、なんでそんなこと訊くんですか??」
 紫恋さんはともかく、うめさんには聞かれたくない気がします……。
「いーから、いつ?」
「……11の時に」
「嘘……」
 うめは卒倒しそうだった。
「後から気付いたのですが、お風呂場で、メイド達と遊んでる時に……」
「ま、王子なんだからそんなもんでしょ。うめももう少し大人になりなさい」
「……嘘だー!!」
 検索