「体の調子はどうだい」
目の前の黒い物体から、視線を神主へと向ける。
「もう大丈夫です。何か問題があっても魔法で回復できますし」
「そうか、それは良かった」
と。
「え……」
神主は、土下座をした。
「神主さん!?」
「本当に、本当にありがとう……紫恋を助けて頂いた御恩、決して忘れません」
「そんな、僕は」
「…………」
それでも、頭を地面につけて、決して頭を上げようとはしない。
「……もしよろしければ」
「……」
「これからのこと、ご助力頂けないでしょうか」
神主が顔を上げる。にっこり笑うシーバリウが、黒で覆われた石人を見上げる。
「実は、まだ終わっていないんです」
「終わって、いない」
神主は立ち上がり、同じように石人を見上げる。
「これはかなり無理な状態で封印しているんです。おそらく二週間ももたないと思います」
「二週間、そんなに早く」
「それまでの間に何らかの方法を取らなければなりません。ですが、私はこちらの世界に疎いですし、彼の地と連絡が取れるかどうかもわかりません」
「そういえば、君はいつ戻るのかね」
「来月、9月なかば頃になると思います。正確なことはまだ決まっていないのですが……でも」
再び石人を見上げる。
「これを片付けるまでは戻るつもりはありません」
「シーバリウ君」
神主は、シーバリウの手を取る。
「本当に感謝する」
そして、強く握る。
「でも、君が、全てを背負うことはない」
「神主さん……?」
「君は何でもできるし、みんなを助けたい、そう思ってくれるのは嬉しい。でも……それでも、同じように、私も、みんなも、君のことが好きだし、心配なんだ。それこそ」
神主が石人を見上げる。
「これを置いて、君は帰ってしまったっていいんだ」
「そ、そんな」
「君にはその権利がある。これは本来、我々の問題だったんだ。君が助けてくれることは本当にうれしい。それでも、これだけは忘れないで欲しい。君には、全て忘れて帰る、その資格がある」
目の前の黒い物体から、視線を神主へと向ける。
「もう大丈夫です。何か問題があっても魔法で回復できますし」
「そうか、それは良かった」
と。
「え……」
神主は、土下座をした。
「神主さん!?」
「本当に、本当にありがとう……紫恋を助けて頂いた御恩、決して忘れません」
「そんな、僕は」
「…………」
それでも、頭を地面につけて、決して頭を上げようとはしない。
「……もしよろしければ」
「……」
「これからのこと、ご助力頂けないでしょうか」
神主が顔を上げる。にっこり笑うシーバリウが、黒で覆われた石人を見上げる。
「実は、まだ終わっていないんです」
「終わって、いない」
神主は立ち上がり、同じように石人を見上げる。
「これはかなり無理な状態で封印しているんです。おそらく二週間ももたないと思います」
「二週間、そんなに早く」
「それまでの間に何らかの方法を取らなければなりません。ですが、私はこちらの世界に疎いですし、彼の地と連絡が取れるかどうかもわかりません」
「そういえば、君はいつ戻るのかね」
「来月、9月なかば頃になると思います。正確なことはまだ決まっていないのですが……でも」
再び石人を見上げる。
「これを片付けるまでは戻るつもりはありません」
「シーバリウ君」
神主は、シーバリウの手を取る。
「本当に感謝する」
そして、強く握る。
「でも、君が、全てを背負うことはない」
「神主さん……?」
「君は何でもできるし、みんなを助けたい、そう思ってくれるのは嬉しい。でも……それでも、同じように、私も、みんなも、君のことが好きだし、心配なんだ。それこそ」
神主が石人を見上げる。
「これを置いて、君は帰ってしまったっていいんだ」
「そ、そんな」
「君にはその権利がある。これは本来、我々の問題だったんだ。君が助けてくれることは本当にうれしい。それでも、これだけは忘れないで欲しい。君には、全て忘れて帰る、その資格がある」