「今もね、王子のこと好きなんだけど、でも、その好きって気持ちを客観的に見ちゃう自分がいるっていうか、冷めた目で見ちゃうんだよね」
「のめり込めないってこと?」
「あの時の王子しか見てなかった頃っていったいなんだったんだろう、そんな感じかな。王子さえいれば何もかも楽しかった気がするんだけど、でも……多分、紫恋の事がなくても、少しずつそうなってたような気がする」
「でも恋なんてそんなもの。気持ちを維持し続けるのは無理だもの」
「そんなこと言ったら結婚なんてできないし」
「結婚と恋は別ね」
「別なんだ」
「でも、一生の内に何度もその相手に恋ができるなら、その相手と結婚するのが一番なんじゃない?」
「何度も恋……してるの?」
「もちろん。歳の離れた弟か妹、欲しくない?」
「ええーっ!? それちょっと微妙。色々と微妙」
「子育てって大変だけど、でもうめが離れていくと、ちょっと寂しくて」
「はいはい、だからこうやって甘えてるんでしょ」
ぎゅっと、うめは手に力を込めて、母の背を抱きしめる。
「ねぇママ、好きって、どういうことなのかな」
「それは人それぞれでしょ」
「じゃあ、ママはなんでパパと結婚したの?」
「それはその場の勢いかな」
「勢いって……」
「ただ、ね」
「?」
「私がAPになった理由って言ったっけ」
「交通事故って聞いたけど」
「そう。その時ね、大した怪我じゃなかったんだけど、パパがすごく泣いちゃってねー」
「パパすぐ泣きそう。私の時も泣いてたし」
「あんなもんじゃなかったんだから。もう鼻水だらだら、息も絶え絶え」
「はははは」
「でね、思ったの。ああ、私にはこれだけ心配してくれる人がいるんだって。だからね」
はこねが後ろを見て、うめに笑顔を向ける。
「ちょっと不謹慎な話だけど、もし自分が死にそうな目に遭ったときに、この人なら号泣してくれるかな、って思う人がいたら、その人なら大ハズレはないかもね」
「号泣してくれそうなひと、か……」
私が困ったときに、本心から心配してくれる人。
困ったときに、後ろから支えてくれる人。
私の事を、いつも見守ってくれる人。
――ふと、号泣する顔が浮かんだ。
「!!」
「誰が思い浮かんだ?」
「あ、えーっと、誰でもない!」
「?」
なんで紫恋が出てくるのよっ!!
「のめり込めないってこと?」
「あの時の王子しか見てなかった頃っていったいなんだったんだろう、そんな感じかな。王子さえいれば何もかも楽しかった気がするんだけど、でも……多分、紫恋の事がなくても、少しずつそうなってたような気がする」
「でも恋なんてそんなもの。気持ちを維持し続けるのは無理だもの」
「そんなこと言ったら結婚なんてできないし」
「結婚と恋は別ね」
「別なんだ」
「でも、一生の内に何度もその相手に恋ができるなら、その相手と結婚するのが一番なんじゃない?」
「何度も恋……してるの?」
「もちろん。歳の離れた弟か妹、欲しくない?」
「ええーっ!? それちょっと微妙。色々と微妙」
「子育てって大変だけど、でもうめが離れていくと、ちょっと寂しくて」
「はいはい、だからこうやって甘えてるんでしょ」
ぎゅっと、うめは手に力を込めて、母の背を抱きしめる。
「ねぇママ、好きって、どういうことなのかな」
「それは人それぞれでしょ」
「じゃあ、ママはなんでパパと結婚したの?」
「それはその場の勢いかな」
「勢いって……」
「ただ、ね」
「?」
「私がAPになった理由って言ったっけ」
「交通事故って聞いたけど」
「そう。その時ね、大した怪我じゃなかったんだけど、パパがすごく泣いちゃってねー」
「パパすぐ泣きそう。私の時も泣いてたし」
「あんなもんじゃなかったんだから。もう鼻水だらだら、息も絶え絶え」
「はははは」
「でね、思ったの。ああ、私にはこれだけ心配してくれる人がいるんだって。だからね」
はこねが後ろを見て、うめに笑顔を向ける。
「ちょっと不謹慎な話だけど、もし自分が死にそうな目に遭ったときに、この人なら号泣してくれるかな、って思う人がいたら、その人なら大ハズレはないかもね」
「号泣してくれそうなひと、か……」
私が困ったときに、本心から心配してくれる人。
困ったときに、後ろから支えてくれる人。
私の事を、いつも見守ってくれる人。
――ふと、号泣する顔が浮かんだ。
「!!」
「誰が思い浮かんだ?」
「あ、えーっと、誰でもない!」
「?」
なんで紫恋が出てくるのよっ!!