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Machician - 第9話 君がそこにいるから (14)
『まだ動くのか』
 装甲多脚は腹を地面に擦るようにして、右中足と右後足だけで走る。それは速いとは言えなかったが、シーバリウに確実に迫っていた。
『全員、射撃止め』
 そして、デルタ01は体を地面に伏せる。
「え……」
 ジャージの視線の先に、デルタ01が構えるリングガンの銃口が、あった。
 リングガンの銃口が、ジャージの視線と合う。
「!!」
 咄嗟にレバーを傾ける。
 左腕が、飛んだ。
 肩から、ちぎれた。
 意識が、切れる。
 え。
 消えたはずの意識の中で、血飛沫を上げながら、コクピットシートの中を跳ねる左腕を、眺めていた。
 左腕で良かった。
 だって。
 今はもう右側の足しか残ってないから。
 右腕さえ残っていれば、操作できる。
 そして意識が戻る。
「!!!」
 激痛。
 左腕は、やはり、なかった。
 その事実と、顔を体を濡らす大量の血に意識を失いそうになる。
 でも。
 耐えろ!
 耐えろ!!
 シーバリウが目の前にいるの!!
 涙が溢れる。
 唇を噛む。
 シーバリウ、あんたは絶対に助ける!!
 レバーを傾ける。
 2発目の銃弾は、頬をかすめ、電送系に直撃、ゴーグル内のウィンドウ3つが同時に落ちる。
 だが。
 シーバリウの姿は見えていた。
 シーバリウの姿が、浮かんでいた。
 一緒に魔法の事を話した。
 魔法を見せると、感心していた。
 シーバリウの手を握った。
 シーバリウの笑顔が忘れられない。
 シーバリウの泣きそうな笑顔が、忘れられない!
「あんたをもう、悲しませたくなんか、ないのよ!!!!」
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