ひとりぼっちだった。
赤い絨毯が永遠に続く回廊に、僕は立っていた。
その色の赤は、染められたのか血の色なのかわからない。
右手には、一振りの、剣。
刃こぼれひとつなく、ただ、血が滴るのみの、剣。
僕の手には、ただ、剣だけ。
「シーバリウ様」
誰かが、呼ぶ。
絨毯の脇で、うやうやしく頭を垂れる家臣がいた。
「シーバリウ様」
「シーバリウ様」
次第に、家臣が増えていく。
絨毯の両脇に、家臣が並んでいく。
「シーバリウ」
右側、家臣の列のさらにむこうに、王、父親の姿があった。
だが、その姿は家臣に見え隠れして、はっきりと捉えることができない。
「シーバリウ」
背後から、声。
振り向かずとも分かる、女性の声。
だから、振り向かない。
「……」
うめき声。
絨毯に染料を提供するように、死体が並んでいる。
永遠に続く絨毯に、死体が並ぶ。
その向こうに、剣を持つ少年。
血の滴っていない剣を持つ金髪の少年が、笑む。
「シーバリウ様……」
袖を強く掴む、ウムリァルトナス。
「怖いよ、王子ぃ……」
袖を掴む、うめ。
二人は、シーバリウの背中で、震えていた。
「王子」
死体の側で、紫恋は、問うた。
「あんたは、どうしたいの?」
「僕は……」
僕は。
もう、誰も死なせたくない。
もう、誰も悲しませたくない。
でも、それは。
誰のために?
なぜそうしたいの?
「それは、私のためでしょう」
死体の中に立つ、母が、そう、答えた。
「あ、あなたのための、訳がっ!」
赤い絨毯が永遠に続く回廊に、僕は立っていた。
その色の赤は、染められたのか血の色なのかわからない。
右手には、一振りの、剣。
刃こぼれひとつなく、ただ、血が滴るのみの、剣。
僕の手には、ただ、剣だけ。
「シーバリウ様」
誰かが、呼ぶ。
絨毯の脇で、うやうやしく頭を垂れる家臣がいた。
「シーバリウ様」
「シーバリウ様」
次第に、家臣が増えていく。
絨毯の両脇に、家臣が並んでいく。
「シーバリウ」
右側、家臣の列のさらにむこうに、王、父親の姿があった。
だが、その姿は家臣に見え隠れして、はっきりと捉えることができない。
「シーバリウ」
背後から、声。
振り向かずとも分かる、女性の声。
だから、振り向かない。
「……」
うめき声。
絨毯に染料を提供するように、死体が並んでいる。
永遠に続く絨毯に、死体が並ぶ。
その向こうに、剣を持つ少年。
血の滴っていない剣を持つ金髪の少年が、笑む。
「シーバリウ様……」
袖を強く掴む、ウムリァルトナス。
「怖いよ、王子ぃ……」
袖を掴む、うめ。
二人は、シーバリウの背中で、震えていた。
「王子」
死体の側で、紫恋は、問うた。
「あんたは、どうしたいの?」
「僕は……」
僕は。
もう、誰も死なせたくない。
もう、誰も悲しませたくない。
でも、それは。
誰のために?
なぜそうしたいの?
「それは、私のためでしょう」
死体の中に立つ、母が、そう、答えた。
「あ、あなたのための、訳がっ!」