「なぜあなたがそんなことを言うんです!」
母が、一歩一歩、近づいてくる。
死体の上を、歩いてくる。
「それは、あなたが一番よく知っているはずです」
「……」
僕は、母の目を見ることができずに、逸らしてしまう。
「素直になりなさい。悔やんでいるのでしょう」
「僕は、悔やんでなんか」
「後悔しているのでしょう」
「後悔なんて」
「仕方ないと思っているのね」
「っ……」
母は、立ち止まる。
一番手前にある、死体の上で、立ち止まる。
「さあ、殺してしまいなさい、シーバリウ」
「っ……」
視線を戻した先に。
金色の髪の、少年が。
手には、一振りの剣。
その少年の肩に手を置き、母は、肩を押した。
少年が、一歩、一歩、近づいて、来る。
「なんで、なんで」
僕は、僕は、
ただ、ただ、
幸せに、幸せに、
泣きたくない、泣きたくない、
誰か、誰か、
僕を、僕を、
少年は、微笑んで、言った。
「誰に? 何に? なぜ? どうして? 何のために?」
「僕は」
「答えられないのなら、忘れた方がいいよ」
「――――」
答えられない。
僕は、もう誰にも、悲しんで欲しくない。泣く所なんて見たくない。
なのに、その気持ちを誰も分かってくれない。
僕が助けようとしても、誰かが僕の邪魔をする。
助けたのに、誰も感謝してくれない。
助けて欲しいと思うだけで、助かろうとしない。
助けたかった人を、助けられなかった。
そんな無意味なことを、したい、その理由を、言葉にできない。
だから。
それはきっと、無駄で、無意味で、だから、きっと、僕はそれを忘れてもいいんだ。
心の奥にある、この気持ちを、見なかったことにしてもいいんだって。
「大丈夫」
「え」
隣に立つ女性が、シーバリウの手を、握った。
母が、一歩一歩、近づいてくる。
死体の上を、歩いてくる。
「それは、あなたが一番よく知っているはずです」
「……」
僕は、母の目を見ることができずに、逸らしてしまう。
「素直になりなさい。悔やんでいるのでしょう」
「僕は、悔やんでなんか」
「後悔しているのでしょう」
「後悔なんて」
「仕方ないと思っているのね」
「っ……」
母は、立ち止まる。
一番手前にある、死体の上で、立ち止まる。
「さあ、殺してしまいなさい、シーバリウ」
「っ……」
視線を戻した先に。
金色の髪の、少年が。
手には、一振りの剣。
その少年の肩に手を置き、母は、肩を押した。
少年が、一歩、一歩、近づいて、来る。
「なんで、なんで」
僕は、僕は、
ただ、ただ、
幸せに、幸せに、
泣きたくない、泣きたくない、
誰か、誰か、
僕を、僕を、
少年は、微笑んで、言った。
「誰に? 何に? なぜ? どうして? 何のために?」
「僕は」
「答えられないのなら、忘れた方がいいよ」
「――――」
答えられない。
僕は、もう誰にも、悲しんで欲しくない。泣く所なんて見たくない。
なのに、その気持ちを誰も分かってくれない。
僕が助けようとしても、誰かが僕の邪魔をする。
助けたのに、誰も感謝してくれない。
助けて欲しいと思うだけで、助かろうとしない。
助けたかった人を、助けられなかった。
そんな無意味なことを、したい、その理由を、言葉にできない。
だから。
それはきっと、無駄で、無意味で、だから、きっと、僕はそれを忘れてもいいんだ。
心の奥にある、この気持ちを、見なかったことにしてもいいんだって。
「大丈夫」
「え」
隣に立つ女性が、シーバリウの手を、握った。