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Machician - 第9話 君がそこにいるから (21)
「!!!!!」
 それは。
 神話に出てくる雷の神が振り降ろした、巨大な槌による一追であるかのように。
 轟音と共に装甲多脚が跳ね上がり、その後部を砕く。シーバリウ達は必死に体を固定する中で、ガナーシートの後ろから猛烈な火花が上げるのを見た。
「ッ、ヒッ!ぃッ」
「!? シーバリウ!」
 声にならない悲鳴を上げて、シーバリウが仰け反る。
 装甲多脚の跳ねが収まる前に再び轟音が鳴り響く。上空の機花からの火線、稲妻の如きそれは装甲多脚の背面を貫き、飛び散る火花が装甲と地面を跳ね回る。
「う”、う”」
シーバリウ、大丈夫!? どこか撃たれたの!?」
「だ、大丈夫です……」
「え」
 シーバリウが、左手を伸ばす。ジャージの方へと、手を伸ばす。
「ここだよ」
 それを感じて、ジャージが右手で握り返すと。シーバリウは強く引き寄せて、抱きしめる。
「……シーバリウ?」
『フィルツィウォード!』
 シーバリウの魔法と共に、再び二人の周りに風が生まれる。
『アーツィガーナ!』
 ジャージは、高揚感を感じる。
「身体強化魔法……! シーバリウ!!」
 ジャージは、後頭部に、暖かいものを感じた。
 それは、シーバリウの、血。
「ま”、まだっ!」
 シーバリウは上を見上げる。見えるはずのない、機花の方向を。
「駄目、シーバリウやめて!! 魔法力オーバーしてるんでしょ!?」
「嫌です!!」
 その方向へと手をかざし、唱える。
『ディルツィガイギス!!』
 装甲多脚の表面、機花が直接見える面、そこから、炎の渦が立ち登り、機花へと向かう。同時に機花からの砲撃、その光の弾丸が炎へと直撃し、空中で爆散する。
 ごふ、と、口から、血を吐いた。
「し、シーバリウ!」
 ジャージの目から涙がこぼれる。
「なんで! やめてよお願いだから!」
「嫌です、嫌なんです!!」
「!?」
「僕は!」
 両の手で、ジャージを抱き寄せる。
「僕はあなたを助けたいんです!! ジャージさん、あなたを!」
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