「へー、ほんとに飛んでる!」
紫恋は窓から背景を眺める。
「東空バス」と書かれた機花が、駅ビルの屋上からゆっくりと浮上していく。5機のエアレールが力強く空気を吹き出し、機体を持ち上げる。
眼下の駅ビルが指先ほどに小さくなると、エアレールの2機が横を向き、真横へと飛行していった。
「紫恋って機花初めてなの?」
ジャージは肩肘ついて外を眺めながら、前に座る紫恋に訊く。
「そりゃ、うちにはないし、結構高いし」
「わたしんち、昔あったしー」
「それは前に聞いた」
自慢するうめを紫恋はスルーする。
「高いんですか?」
「片道3000円くらい」
「ええっ!?」
「電車でもそのくらい掛かるとこだからあんまかわんないって」
頭上のルートマップを指で追う。自分達が乗った駅から5つの駅を通り、終点、千葉県幕張の「HAC幕張特区駅」を指す。
「いいんですか、本当に」
「私持ちじゃないもの。こういうお金もHACが出してくれるから」
「HACって太っ腹なんだね」
何も分かってないような顔で、うめは感心する。
わずかな沈黙。
外を眺める紫恋の目が、ちらと横に座るシーバリウと、前に座るジャージを見る。ジャージも自分と同じように外を見ていたし、シーバリウは笑顔を前に座るうめへと向けていた。
「……」
なんとなく、違和感を、紫恋は感じていた。
『間もなく、八王子駅、八王子駅に停車いたします。危険ですので、停車するまでは……』
近づく高層ビルへと視線を戻し、
「へー、本当に速いねー」
と、とりあえず会話を置いておいた。
紫恋は窓から背景を眺める。
「東空バス」と書かれた機花が、駅ビルの屋上からゆっくりと浮上していく。5機のエアレールが力強く空気を吹き出し、機体を持ち上げる。
眼下の駅ビルが指先ほどに小さくなると、エアレールの2機が横を向き、真横へと飛行していった。
「紫恋って機花初めてなの?」
ジャージは肩肘ついて外を眺めながら、前に座る紫恋に訊く。
「そりゃ、うちにはないし、結構高いし」
「わたしんち、昔あったしー」
「それは前に聞いた」
自慢するうめを紫恋はスルーする。
「高いんですか?」
「片道3000円くらい」
「ええっ!?」
「電車でもそのくらい掛かるとこだからあんまかわんないって」
頭上のルートマップを指で追う。自分達が乗った駅から5つの駅を通り、終点、千葉県幕張の「HAC幕張特区駅」を指す。
「いいんですか、本当に」
「私持ちじゃないもの。こういうお金もHACが出してくれるから」
「HACって太っ腹なんだね」
何も分かってないような顔で、うめは感心する。
わずかな沈黙。
外を眺める紫恋の目が、ちらと横に座るシーバリウと、前に座るジャージを見る。ジャージも自分と同じように外を見ていたし、シーバリウは笑顔を前に座るうめへと向けていた。
「……」
なんとなく、違和感を、紫恋は感じていた。
『間もなく、八王子駅、八王子駅に停車いたします。危険ですので、停車するまでは……』
近づく高層ビルへと視線を戻し、
「へー、本当に速いねー」
と、とりあえず会話を置いておいた。