『リッツ、アノードディンケラヴーカッサス』
「え」
シーバリウは掌で自らの両目を覆い、そう唱えた。
手を下ろせば。
そこには。
端正な顔立ち。
はっきりとした瞳。
金色の、透き通るような長い髪。
「ジャージさんって、左目の下にほくろがあるんですね」
「!」
ジャージは手で口元を押さえる。瞳が、潤んでいく。
「見える……の?」
「ええ。一時的なものですけど、僕自身に無効化する魔法を掛けました」
「でもできないって」
「今お話している間に、どのような種類の魔法かはわかりましたから。それさえわかれば無効化する方法はあるということです。恐らく、彼の地の魔法技術を用いれば、魔法の効力そのものを取り除くこともできるでしょう」
「……」
ジャージの瞳から涙が溢れ、流れていく。
「……諦めてた……HACのカタログでもそういう論文は見つからなかったし、きっともう無理なんじゃないかって……」
「それにしても、綺麗なお顔ですね……」
シーバリウは、本当に見惚れていて、なぜかジャージは頬を膨らませる。
「まぁ一応デザイナーチャイルドだから、綺麗には作ってあるわよ」
「あ……すみません」
「いいのよ。……なんだかこの顔自体、私の顔じゃないみたいで、ちょっと嫌いかも」
そう。
私は、私が嫌い。
作られた顔。
付けられた名前。
偽りの外見。
それは、自分ではない、自分だから。
「僕は」
と、シーバリウはジャージの手を握る。
「この手は好きです。ジャージさんの暖かい手が好きです」
どきん、と、ジャージの顔が赤らむ。
「え」
シーバリウは掌で自らの両目を覆い、そう唱えた。
手を下ろせば。
そこには。
端正な顔立ち。
はっきりとした瞳。
金色の、透き通るような長い髪。
「ジャージさんって、左目の下にほくろがあるんですね」
「!」
ジャージは手で口元を押さえる。瞳が、潤んでいく。
「見える……の?」
「ええ。一時的なものですけど、僕自身に無効化する魔法を掛けました」
「でもできないって」
「今お話している間に、どのような種類の魔法かはわかりましたから。それさえわかれば無効化する方法はあるということです。恐らく、彼の地の魔法技術を用いれば、魔法の効力そのものを取り除くこともできるでしょう」
「……」
ジャージの瞳から涙が溢れ、流れていく。
「……諦めてた……HACのカタログでもそういう論文は見つからなかったし、きっともう無理なんじゃないかって……」
「それにしても、綺麗なお顔ですね……」
シーバリウは、本当に見惚れていて、なぜかジャージは頬を膨らませる。
「まぁ一応デザイナーチャイルドだから、綺麗には作ってあるわよ」
「あ……すみません」
「いいのよ。……なんだかこの顔自体、私の顔じゃないみたいで、ちょっと嫌いかも」
そう。
私は、私が嫌い。
作られた顔。
付けられた名前。
偽りの外見。
それは、自分ではない、自分だから。
「僕は」
と、シーバリウはジャージの手を握る。
「この手は好きです。ジャージさんの暖かい手が好きです」
どきん、と、ジャージの顔が赤らむ。