「それとは別に」
紫恋は横目で、高士とジャージが離れている隙を狙って、シーバリウの耳たぶを掴む。
「ひっ!? し、紫恋さん?」
「ちょっと話があるんだけど」
それを聞いて、シーバリウは真面目な顔になる。
「うめさんのことですか」
「……気付いてるんなら、余計たちが悪い」
紫恋はシーバリウを睨む。
「……すみません」
「……すぐ謝んないでよ」
紫恋は溜息をついて、引っ張っていく。目の端で、うめも捉え、離れるように移動する。うめは母と片付けをしていて、こちらには気付いていない。
そのまま窓を開け、テラスへと出る。すぐ下を流れる川の波音が、いつもより大きく聞こえる気がした。
「はい」
と、紫恋はジュースを渡し、テーブルに腰掛ける。
「うめさん、最近少し元気ないようですけど……」
ジュースに口を付け、柵にもたれかかる。
「うん、最近特にナーバスになってる。ジャージに聞いたら、多分AP化のための薬が影響してるんじゃないかって」
「そんな副作用があるんですか?」
「みたい、だけど。明日病院に行って診てもらうんだけど、その時にカウンセリングもあるはずだから」
「それなら」
「っ……」
紫恋の表情を見て、シーバリウは言葉を止める。
……わかってる。
言っちゃいけないことだって。
優先順位を考えれば、今、王子にこんなこと言うべきじゃないって。
王子が動揺するようなことを言ったら、もしかしたら、4日後に失敗するかもしれない。
そんな責任、私には――。
「王子は」
「はい」
「うめのこと、今はどう思ってる?」
紫恋は横目で、高士とジャージが離れている隙を狙って、シーバリウの耳たぶを掴む。
「ひっ!? し、紫恋さん?」
「ちょっと話があるんだけど」
それを聞いて、シーバリウは真面目な顔になる。
「うめさんのことですか」
「……気付いてるんなら、余計たちが悪い」
紫恋はシーバリウを睨む。
「……すみません」
「……すぐ謝んないでよ」
紫恋は溜息をついて、引っ張っていく。目の端で、うめも捉え、離れるように移動する。うめは母と片付けをしていて、こちらには気付いていない。
そのまま窓を開け、テラスへと出る。すぐ下を流れる川の波音が、いつもより大きく聞こえる気がした。
「はい」
と、紫恋はジュースを渡し、テーブルに腰掛ける。
「うめさん、最近少し元気ないようですけど……」
ジュースに口を付け、柵にもたれかかる。
「うん、最近特にナーバスになってる。ジャージに聞いたら、多分AP化のための薬が影響してるんじゃないかって」
「そんな副作用があるんですか?」
「みたい、だけど。明日病院に行って診てもらうんだけど、その時にカウンセリングもあるはずだから」
「それなら」
「っ……」
紫恋の表情を見て、シーバリウは言葉を止める。
……わかってる。
言っちゃいけないことだって。
優先順位を考えれば、今、王子にこんなこと言うべきじゃないって。
王子が動揺するようなことを言ったら、もしかしたら、4日後に失敗するかもしれない。
そんな責任、私には――。
「王子は」
「はい」
「うめのこと、今はどう思ってる?」